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外は生憎の雨。
冷たい空気と雫が、身体中に染み渡る。
「…寒い。」
気温も低いため、本当に寒い。
温かい缶コーヒーを飲んでも、すぐに温まる訳ではない。
もう8月だっていうのに、冷夏かと思うくらいだ。
そんな中で私は、街をぶらついていた。
雨の中でチラシを配る人や、藁箒で掃除をしている人がちらほら。
そこらの一般人みたいに、私は歩くだけの事。
「…お姉ちゃん?」
誰かが、私を呼んだ。
声のした方に振り向くと───。
「奈那美お姉ちゃん…だよね…?若葉だよ。松浦若葉!」
「…若葉…?」
そこにいたのは、松浦若葉。
私の、実の妹だ。
生き別れて以来、ずっと連絡も取れなかった。
若葉は私を目にした瞬間、目から雨のように涙を流していた。
「もう!ずっと会いたかったんだよ…!」
若葉は思いきり私の胸へと飛び付いた。
よほど寂しかったのだろう。
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