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 けたたましい目覚まし時計と音とカーテンの隙間から射し込む夏の日差しで目を覚ます。  隣にいるはずの温もりを探すが、そこにはもう温度はなかった。  慌てて時計を見ると針は午前七時を指している。  良かった。寝坊した訳じゃないのか。  そういえば、アイツ今日は早く出るって言ってたっけ?  重い体を起こし、リビングに行くとテーブルの上にはピンっとラップがかけられた美味しそうな朝ごはんが置かれていた。その横にはちょこんとメモが置かれている。 『今日は早朝業務があるので、先に出勤します。朝ごはんはちゃんと食べるように。 後、今週末に待ち合わせデートしませんか?            結那』  彼女の名前の下にはお世辞にも可愛いと言えないようなネコの絵が描かれていて、俺はクスッと笑いを零す。  俺はその下に 『おっけーです。待ち合わせ、行く場所についてはまた連絡します。 ところで相変わらずの画伯具合ですね‪(笑) 俺の方が可愛くない?           航太』 と書き足すと、同じネコの絵を書いた。  結那と付き合ってからもうどのくらいが経つだろう?  二年前から同棲を始めて、今では彼女が隣にいることが当たり前になっている。  それでも、お互い付き合い始めた頃の新鮮な気持ちを大切にしたいという彼女の提案で、こうして二人の予定を合わせては、待ち合わせして出かけるということを、同棲をしている今でも続けていた。ちなみにデートのペースはどんなに忙しくても2週間に一回で、家を出るのは別々でなければならないらしい。  行く場所は交互に決めていて、今回は俺が決める番だった。  ただし、俺たちはお互いにひねくれている。秋なのに海に行ってみたり、冬になれない雪がたくさん降る北海道を旅行したりといつも普通とは少し違うデートプランを楽しんでいた。  最近、彼女と一緒にいる時間は少ない。彼女の仕事が忙しい月なのだ。だから、今日みたいに朝早く出ていくことはよくあることで、夜は俺の帰りが遅かったり、彼女の帰りが遅かったりと、すれ違う生活が続いていた。  最初の頃は億劫に感じていたデートルールも、ここまですれ違う生活が続くと、このルールを作っておいて良かったと思えるのだから不思議だ。   覚醒しきらない頭でそんなことをぼんやりと考えながら、彼女が用意してくれた朝ごはんを食べ終えると、会社に行く支度を始めた。
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