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監禁
目を覚ますと見知らぬ部屋にいた。
体には縄が巻いてあり、椅子と固定されている。
なぜか先程コンビニに行こうと外に出たところからの記憶が全くない。
電気は真っ暗で視界が慣れるまで時間がかかりそうだ。
何故こんな見知らぬ場所にいるのかと考えていると、部屋の鍵が開き、ドアが木の擦れる年季を感じさせる音をしながら開いた。
外からは全体的に黒っぽい衣服で統一した少女が入ってきた。
見た目はまだ中高生の可愛らしい少女なのにそこから醸し出す大人びた雰囲気。
なんともミステリアスで常人とは明らかに何かが違う。
"俺は何かの事件に巻き込まれたのだ。"
直感がそう告げる。
少女が声を発した。
「目を覚ましたのね…」
「おい、ここはどこなんだ!なんでこんな部屋に閉じ込めるんだ!」
「落ち着いて。」
「これが落ち着けるか!何処なんだここは!早くここから出せ!」
俺が騒ぎ立てると少女はスッと冷たい目でこちらを鋭く睨みつける。
「良い?ここから絶対に出ないでよ。出たらあなたの身の安全は保証できないから。」
少女は冷たい声で俺を脅す。
下手に抵抗すれば手段は選ばないということか。
俺は黙って頷き無抵抗であることをアピールする。
今は黙って従い、なんとかチャンスを伺おう。
「この部屋から出ようなんてことぜっっったいに考えちゃダメだから。」
あくまで冷淡な少女に俺は勇気を出して交渉を持ちかける。
「なあ、約束するよ。俺はこの部屋から出ないからさ。だからこの縄を解いてくれ…」
懇願すると少女は少し沈黙した後「わかった…」と言って俺の身体を拘束する縄を解いた。
チョロいのか、それとも俺を従わせる絶対的な自信があるのかわからないがとにかく身体が自由になった。
あとはなんとかこいつの隙を見て逃げ出すのみだ。
すると突然暗い部屋に目が痛くなるような眩しい光が点滅を始めた。
暗い部屋の中に野球ボールほどの大きさの光の玉が宙に浮かび規則的に点滅をしていた。
「うおっ、なんだ?」俺は思わず解放された手で目を覆う。
「ああ、呼び出しだ…」
そういうと少女は部屋から出て行く。
去り際に俺の方を向き、
「良い?約束だからね!ここでじっとしといてね!」
と言い残す。
光の玉も去って行く少女の後ろを追っていった。
再び部屋の中には暗闇が戻ってくる。
あの少女は明らかに普通じゃない…
逆らったらどんな目に遭うかわからない…
しかしそんなことを言ってる場合ではない。
この部屋から脱出する大チャンスを迎えたのだ。
俺を監禁する得体の知れない少女は出て行った。
身体は自由。
ここにいても結局少女が戻ってきたらどんな目に遭うかわからない。
ならば勇気を振り絞り脱出するしかないのだ。
俺が部屋を出て廊下に出るとここがごく普通の2DKの賃貸マンションであることがわかった。
怪しい組織の所有する豪邸のようなどこをどう歩けば出口にたどり着けるのかわからないような場所を想定していたので些か拍子抜けではある。
予想よりもずっと短い廊下を歩き玄関に向かいドアを開ける。
簡単に外に出れた。
これで脱出は終わった。
さあ、あとは警察に行って助けてもらおう!
そう思い俺は走り出した。
夜なのに外がやたらと明るいことに気づかないくらい動揺しながら…
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