星が降る日に備えて

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「2年D組のイザレアさんが降星対策委員会のメンバーに選ばれました。」 彼女は驚きで一瞬自分の名前がイザレアであることを忘れてしまっていた。 周りの目が彼女の方に向いていることに気が付いてようやく事を理解した。 "そうか。まず一つ、私が2年D組に属するイザレアである。そして二つ目、『2年D組に属するイザレアさん』が降星対策委員会のメンバーに推薦されている。そして三つ目、つまり私が降星対策委員会のメンバーに推薦された。三段論法による証明完了!" 突然信じられないことが起きると状況を整理しなければ飲み込めないのは魔女も人間も同じ。 「選ばれたイザレアさんは壇上に上がってきてください。」 という先生の声がする。 イザレアは驚きで見開いた目をゆっくり閉じ、深呼吸をして立ち上がり、壇上へと向かう。 周囲の視線が痛いくらいに突き刺さる。 入学して以来こんなに注目を浴びたのは初めての彼女はぎこちなく手足を動かしながら壇上へと上った。 「それでは皆さん、イザレアさんに拍手を。」 その声に呼応しイザレアに向けた拍手が講堂内に響き渡る。 彼女は一躍校内で時の人となった。
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