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星が降る日
そして降星日当日を迎えた。
降星対策委員会に属する魔女たちは皆降ってくる星に当たらないように星避けのシールド魔法で身を守る。
各地に別れた魔女たちは人間に気付かれないように箒で空を飛びながらソッと暗示をかけた。
フワリとオーロラのような綺麗な明かりを伴った幕が空から地面にドームのように広がっていく。
この明かりに包まれた場所にいる人間は何となく外に出る気が失せてしまう。
一応キーナは自分の任された場所で準備を終えた。
前回はキーナの母親曰くとくに問題なくことは進んだというが…
今回も無事みんなに魔法がかかってくれと願うキーナの気持ちは虚しく外を歩いている人間を見つけてしまった。
「あっ…」
思わずキーナは溜息をつく。
今年は違うかもしれないというキーナの母親であり降星対策委員会の会長である彼女の予想が当たる。
「勘弁してよ…」
思わず溢す。
今回の降星対策委員会の会長の娘としてキーナは失敗するわけにはいかなかった。
もう一度その外出している彼の近くで集中的に暗示をかけてもまったく効果を見せない。
彼は気にせず外を歩いていた。
「どうしよう…」
他の班にいる同じ学校の子に連絡をしても「もっとしっかり暗示をかけないと」とか「もっと精神を集中させないと」とか既に試したようなアドバイスしかもらえない。
キーナはダメ元で近くにいるはずのイザレアに連絡を取ろうと人間界で言うところのスマホのような物を取り出した。
野球ボールほどの宙に浮く道具で通話中や着信があるときには光るのである。
「イザレアに。」
そう言うとキラリと光りイザレアに繋がる。
キーナは今の状況をイザレアに必死に伝える。
その間にも先程見つけた人間の男は空から次々に降ってくる星に慌てていた。
今の奇異な状況が珍しいのか何やら写真も撮っている様子。
"ちょっと…写真なんて撮って降星日の出来事を残さないでよ…"
キーナは心の中で取り乱しながらもなんとかイザレアに現状を説明した。
「わかりました。今すぐそっちに行きます!」
とりあえず1人でこの緊急事態に対応しなくても済むだけでも少し心が落ち着いた。
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