ゲーマー

1/1
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ

ゲーマー

PCは国から配布されたものであったが娘というよりは自分のほうがよく使っていた。居酒屋のシフトは正社員2人がシフトを分け合う状態だったが社長が「本来の店の良さを取り戻したい」という理由でシフトに加わりオープンのシフトをさらに減らした。背に腹は抱えられないので辞める気はなかったがシフトを減らされる前にカード決済していた車検の引き落としがアパートの更新日と重なってなんぼ頑張っても来月の支払いには4万円足りなかった。なんとか金を工面したいと仕事を探していたのだった。怪しいサイトはいくらでもあったがとりあえず手堅くアウトソーシングの大手を当たってみた。デザイン、プログラミングなどはできそうもなかったが「クリエイト」の一連にあった「コンテンツ募集」に目が止まった。引かれたのは「以下のゲームの中からプレイしてコンテンツを制作してください。」だった。その中には誰もが知っているようなアプリゲームがあった。ひょっとしてこれ俺できるんじゃないのか。「1コンテンツ400円」とあった。貢太はドキドキしながら応募欄に志願動機を書き込むと「エントリーする」をクリックした。その後同じようなゲームコンテンツ作成の依頼に応募した。そうこうしてたら一社から返信が来た。「オーソゴナルサブジェクト・ケンと西遊記・あっちゃんは見た・ダヴィンチソード・ウェズナー・YESⅢ・まいっちんぐミーの中で作成できるものはありますか。」YESⅢ以外はやったことがなかったがどれも無料ダウンロードできるものだったので「すべて作成可能です。」と答えた。すぐに「7本2800円でお願いできますか。」 ドキッ。まじか。1コンテンツ400円だと思っていた。「できます。お願いします。」と送った。すると正式な発注画面が飛んできた。7件のオファーに承認すると承認が「完了」というボタンに変わった。コンテンツをしかるべきワークシートにドロップし、完了ボタンを押すようにすればいいようだった。貢太はもしかして俺ゲーマーになったんじゃないのか。と思った。そうだ。俺ゲーマーになった。気が付けば夜が明けていた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!