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突然の指図に、涼真は訝し気に眉根を寄せる。
「僕のパソコンを立ち上げろという事か? どうしてだ?」
「俺の絵が見たいんだろう?」
「――なんで僕のパソコンに、君の絵があるというんだ」
このやり取りからして、どうやら涼真は、ピクシボというサイトの存在を知らないようだ。
ネットを使う者には広く知られているので、逆にこれは珍しい。
悠斗が公開している漫画やイラストなら、そこにアップされているのだが……。
だが、そんな事情など知らない涼真は、立腹した様子で声を荒げた。
「だから、僕は君の絵を見せてくれと言ってるんだぞ? 漫画家なら、スケッチブックとかを常に持ち歩いているものじゃないのか?」
(そりゃあ、いつの時代の漫画家だよっ)
突っ込みたくなるのをグッと堪えて、悠斗は溜め息をついた。
「……いいから、黙ってやれよ」
そう言うと、さすがに涼真も何かを感じ取ったか、不承不承パソコンを立ち上げた。
それを確認すると、悠斗は横から手を伸ばしてパパっとキーボードを打ち込み、ピクシボにログインする。
そうして、自分のページを開いてみせた。
「どうだ? これが俺の描く絵だ」
「……」
そこには、素人目にもこれが絵描きのエキスパートだと分かる、美麗で迫力あるイラストがアップされていた。
余程驚いたのか、言葉を失ったように画面に見入る涼真の様子に自尊心を刺激され、悠斗はフフフンと笑う。
「これで、俺の実力は分かったな?」
「……ああ。綺麗だ」
「まーな! 一応、プロなワケだしぃ? そこらの、ちょっと絵が上手いだけの素人と一緒にされちゃあ困る」
悠斗はそう言うと、マウスをカチッとクリックした。
「ちなみに、漫画も上げているんだ。見てみるか?」
「ああ」
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