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 作家同士の意見が合うと、それまで停滞していたプロットの道筋もどんどん進むもので。  夢を持って上京したはいいが、厳しい現実の壁にぶつかり悪戦苦闘する『勝』は涼真が。  自分の人生さえも、まるで傍観者のように無気力なポジションで諦観していた『テツヤ』は悠斗が。  それぞれ、そのキャラクターに成り切ってアイディアを出し合い、順調にプロットは組み立てられていった。  出会ってからの反目と、理解。そして儘ならない現実への共感。  全くタイプの違う涼真と悠斗の二人は、次第に距離を縮めて心を通わせていく。  そうして、第一稿の後半に差し掛かったところで……いよいよ『勝とテツヤ』の、貸しスタジオの場面へと入って行った。    ◇ 「ギターのあいつを口説いて、まずは一人目ゲットだな。ま、良かったな。お前の歌を聴いたら、結構、反応もイイ感じだったじゃないか。ドラムは立候補して来たのがいるし」  テツヤがそう言うと、勝は未練有り気に悠斗を見つめた。  そして握り締めていたマイクを戻し、ゆっくりと口を開く。 「……どうしても、俺と一緒に組む気はないか?」 「は?」 「俺は、本当は、ドラムはテツヤと組みたいんだ」  勝のセリフに、テツヤは「おいおい」と首を振る。 「俺より上手いヤツなら山程いるぜ? 俺のはただの、素人のお遊びみたいなもんだ。バンドなんて――」 「上手い下手じゃない。滾るようなパッションを、俺はテツヤのドラムから感じ取ったんだ」 「……」  勝の言葉を受け、テツヤは無言になった。  ソロのドラムで、何度かステージに上がった事はあるが……それはあくまで、前座や場を繋ぐための余興でだ。  誰かと、本格的にバンドを組んだ事など無い。
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