100人が本棚に入れています
本棚に追加
「一つ訊くが……勝とテツヤは、どっちが女役なんだ?」
悠斗の疑問に、涼真の柳眉がピクリと反応する。
それに気付かず、悠斗は重ねて言う。
「あ、BLではネコとタチって言うんだったか? 思えば、そこんトコロをまだしっかりと決めてなかった――よな?」
涼真は、無言だ。
さすがに少し違和感を感じながらも、この根本的な点をスルーする訳には行かないので悠斗は答えを促した。
「合作だが、基本に原作はそっちに合わせるし。俺らの間でネタバレとか関係無いんだから、勿体ぶる必要はないぜ」
「あ、ああ」
「うん。前半のバイトのコマはカットしたけど、いい具合に修正出来ている。後半をこのくらい空けてくれたなら、浮いた分は、コマ割り次第で濃厚ラブシーンまで持っていけるかもな。ってなると――」
パラパラとプロットを捲りながら、早速ネームの構想を始めた悠斗に、涼真は下を向きながらボソッと呟いた。
「僕がさっき言った事、覚えているか」
「ん?」
「勝とテツヤの恋を応援したい。彼等に恋をしている、と」
「ああ、それがどうかしたか?」
「僕は今、勝になっている。テツヤに対しては、友情混じりの淡い恋を感じ始めているのは本当だ。しかし、まだ――――欲情はしていない」
(はぁ? どういう意味だ?)
訝し気に眉間へ皴を寄せながら、悠斗は口を開いた。
「言っている意味が、よく分かんねぇんだけど?」
「君は、友人として信頼を寄せ始めたばかりの相手を、欲望の対象として考える事が出来るのかという意味だ」
「!?」
「テツヤが大好きだ。冷めているクセに繊細なハートを持つ彼を放っておけない。僕は彼と一緒に歌いたい。僕の隣に居て欲しい。だが……まだこれを恋と言えるのか自信が無い」
最初のコメントを投稿しよう!