100人が本棚に入れています
本棚に追加
ドクンドクンと、心臓の音がうるさいくらいに響く。
悠斗は自分でも意識しないまま、両手を涼真の背中へ回していた。
「好きだ」
「――――僕もだよ、テツヤ」
耳に心地よい声が零れ落ちると同時に、涼真は悠斗の胸の中へと身をゆだねる。
そうしてうっとりとした表情で、唇をそっと寄せて来た。
その緋色の唇がなんとも魅惑的で、目が離せない。
(涼真……)
勝になりきっている涼真は、本当に可愛くて可憐で。
今まで、同性に対して恋情など抱いた事のない悠斗の心を激しく揺さぶる。
(ま、まずいぞ。これ以上は――)
脳内は嵐のように混乱し、収拾がつかない。
「あ……あのよぉ」
開きかけた唇を、涼真に塞がれた。
涼真は、悠斗と違ってこういった事には慣れていないだろうに、テクニックではない激しい情熱を傾けて口付けをしてくる。
それに圧倒され、まるで童貞の小僧に戻ったように、悠斗の方が完全に動転した。
しかし涼真はそれに構わず、全体重をかけて、悠斗を床へと押し倒した。
「君が好きだよ、テツヤ」
「ア、アリガトウ」
「何だよ、急に硬くなりやがって」
クスクスと笑い、涼真は着ている服を脱ぎ始めた。
その間、悠斗の上に馬乗りになったままだ。
これにはさすがに慌てて、悠斗は「おいっ」と声を上げるが。
「君の全てが欲しい。バンドを組んでほしいのは勿論だけど、それ以上に……恋人になって欲しいんだ。僕は、東京に来たばっかりで浮かれているのかもしれない。明日になったら後悔するかもしれない。だけどこの瞬間だけは、君が欲しい」
滾るような熱い思いをぶつけると、涼真は、悠斗のズボンのファスナーを引き下ろした。
最初のコメントを投稿しよう!