意外な接点

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「基本的には、ここに登録してる会員しかパーティに参加できないからね、登録は必要なんだけど・・・入会金払う前に一度だけ、パーティの会費だけでお試し参加が出来るんだよ」 「へえ・・・」 雰囲気のいい会場で、談笑している男女の写真が門脇さんのスマホ画面に写っている。確かに、軽薄な印象は感じない。 「それで、雰囲気よければ正式入会って流れになるんだけどさ、そこでそのまま、お試し参加でカップルになっちゃう人もいるみたい。入会しなくても違約金みたいなのもないからね。オレはなんとなく入らなかったけど・・・良心的な会社だよ。一度試しに行ってみたら?」 (・・・結婚相談所が主催のパーティか・・・) フラれたばかりで自棄な気持ちもあるけれど、素直にやっぱり、気にかかる。 「いいじゃない、美桜。気晴らしって思って行ってみたら」 「うん。男も真面目な感じの奴が多かったよ。そこらでへんなのに引っかかっちゃうよりも、確実だって思うけどな」 「・・・そう、ですね・・・」 即答はできなかったけれど、自分のスマホに「結婚相談所・ハッピーフラワー」の会社名をメモしておいた。 行くとは決めていないけど、まあ・・・いつかは行くかもしれないし。 メモを終えた私を見ると、萌花は満足そうに頷いてから、門脇さんににっこり微笑む。 「門脇さん、ちゃんと婚活してたんですね」 「え!?あ、いや、結構前の話だよ。今は萌花ちゃん一筋なんだよ」 「・・・どうだかなあ・・・。でも、よさそうなところだし、いいじゃないですか。入会すればよかったのに」 笑顔の萌花はくるりとカウンターに背を向けて、煮物の鍋をかき回す。 門脇さんは、「ほんとだよ!」と言って萌花の後ろ姿に一生懸命話しかけている。 (門脇さん、報われないけどがんばるなあ・・・) 年齢差も大きいし、毎回こんな感じだし、それでも、めげない門脇さんはすごいと思う。 いつも頑張っているもんね・・・。
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