6人が本棚に入れています
本棚に追加
林はちょっと苦手。基本的にはいい人なのだろう。良心も持っている。けれど、組織に使われていて、それに従っていて、司と悟の山親なのに、二人とも放り出す感じになる。不言実行な人なのかもしれないけど、う~んと思う。
外見がおっさんだからかもしれない。渋くていいんだけど、なんかう~んなのである。
Petはエロいシーンはない。けれど、相手を絶対的に必要とする関係がいい。神に匹敵する崇拝。その人がいないと生きていけないほどに慕っている。ただ、ペットってことだから、恋愛対象としては見ていないのかもしれない。
途中まではとっても面白かった。
設定もわりと好き。
でも、恐怖だった。
とっても大切にしている記憶を改ざんできる人が存在しているということ。
自分の中の、とっても大切にしている記憶。誰にでもある、ひっかかりのある記憶。トラウマと言ってしまってよい記憶。ずっと引っ掛かっている記憶。忘れられなくて、忘れたくない記憶。
それを改ざんしてしまう。
そんな恐ろしいことって、あるか?
昔、読んだマンガで、過去の記憶を改ざんするシーンがあって、はっきりとは覚えていないが、実話系で前世の記憶を変えてしまっていた。親に愛されていなかったという記憶を、本当は愛されていたのだと変えてしまう。
そうすることによって、記憶を変えられた人は明るい気分になって生きていくことができていた。
petでも、相棒を殺されてしまった人がいて、その相棒はその人の大切な記憶の中にいた。相棒がいなくなることで、その人は哀しみに暮れることになる。しかし、司はその大切な記憶を改ざんする。
大切な記憶を改ざんして、その人にとって大切だった相棒はその人の記憶からいなくなり、その相棒の代わりにその相棒を殺した人を大切な人だと思い込ませた。
それは、絶対にやってはいけないことではないか。
その人は哀しむこともなく、笑顔で相棒の仇である人を嬉しそうに見つめていた。
それでいいのだろうか?
という疑問を持った。
本当のことを知ったら、嘆き悲しみ、仇を憎む気持ちにもなるだろう。でも、恨む相手が悪すぎて、そんなヤツに反抗などしたら、その人も殺されてしまう。死んだ相棒も、そんなことは望まないかもしれない。だから、その人を助けるために、記憶の改ざんをした。
そんな記憶の改ざんをしてもらって、感謝する日も来るかもしれない。おかげで生きることができたと。本当のことを知って、耐えきれない場合だってあるだろう。
でも、本当にそれでいいのだろうか。
真実を知って、壊れてしまうような弱い心でいいのだろうか。真実を知っても、乗り越えていかなければいけないのではないか。
petに話を戻すと、生かすために記憶の改ざんをした。けれど、ヒロキも納得していなくて、私も納得できなかった。
弱い人間が守られずに理不尽に生かされる歪んだ世界。
それは物語の世界だけではなくて、現実の世界もそうなのかもしれない。
物語の世界だから簡略化されていたけれど、現実はもっと複雑で入り組んでいるだけなのかもしれない。
真実だと思っていることが、嘘で成り立っているのかもしれない。
自分の記憶が本当は偽物で、自分は薄氷の上に立っているようなものかもしれない。
そんな気分にさせられるストーリーだった。
最初のコメントを投稿しよう!