2 波よ聞いてくれ 全12話

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2 波よ聞いてくれ 全12話

 全話録画する前に、たまにオンタイムでチラッと見てしまうことがある。その時、みなれ(主人公)が陰陽師の格好をしていて、あやかし系か? と思った。  海にいる幽霊専門の祓い屋さんの語かなと。姿をとらえづらい幽霊だから波と言い換えて、幽霊に『話を聞いて』と訴えるストーリーかと思った。うちの近所の海は出ると聞いていたので、海=幽霊という印象がたまにある。陰陽師のような格好をしていたのだ。そう思ってしまうのも無理はない。  1話を観てすぐに違うことに気づいた。全然違っていた。ただ、面白いアニメというのは、どこか一部分切り取っただけでも面白い。『観たい』と思わせる吸引力がある。  勘違いをしていた時から『面白そうだから観てみよう』と思っていた。会話がすんなりと入ってくるアニメだった。1話を観てわかったが、ここでの『波』は海の波ではなく、音の波だった。ちゃんとした電波の波、ラジオの波だった。  題名の文字からして電波の雰囲気が伝わってくる。テレビ欄の活字ではわからない情報。話をまとめると、素人の26歳のみなれが、ラジオDJになるお話。単純なサクセスストーリーっぽいけれど、彼女の苦悩が面白い。  冒頭の部分は嫌いではない雰囲気で、主題歌を見て聞いて、サンライズだということを知っていくらか納得。シティーハンターの系統なのか? と思った。※ガンダムではないサンライズ。  そして、個人的な理由でみなれに共感した。  1話は最後にみなれが元カレに向けて言葉を放つ。ラジオの生放送。スカっとした。その余韻を残してエンディング。最高なタイミングで、題名がすんなりと納得できた。  そういえば、シティーハンターのGet Wildも絶妙な感じに入ってきた。曲とまともな時の冴羽獠のイメージがとてもよく合っていた。曲のバックにアニメが入って好きな曲No.1。余談だがNo.2は銀魂の修羅。  あの頃のTMネットワークは最高だった。聴いた瞬間に電撃が走るレベル。ただし、出た時が最高で、リミックスなどは聴けたものではなかった。何とかVersionという曲を聴くたび、最高作品が汚物にまみれていくような印象を持った。  それでもGet Wildは大好きな曲だった。冴羽獠のイラストとばっちり合ってて、ホントにとっても大好きだった。あの曲は大好きなんだああああ!(もちろんTMネットワークも)  話がずれた。みなれの言葉は、言ってはいけないと思うが深く共感した。思っていても言えない言葉を吐き出してくれた。そういう爽快感。そんなことを言ってはいけないと思っていても、どうしても言いたい言葉がある。  言ってしまえば言霊によって悪い人間になってしまう。だから言えない。でも、言わないことによって、鬱屈とした気持ちが(おり)のように溜まってしまう。  ワインを好んで飲むわけではないから澱にあまり馴染みはない。ワインの底にふわふわ漂っている黒い物がそれらしいから、なんとなくわかったようなわからないような。以前、貧乏性で赤ワインを最後まで飲みほそうとしてえっらい不味い物が口の中に入ってきたことがあり、アレがそうだと教わってはいないが、おそらくアレであろう。くっそ不味かった。  みなれはそのクソ不味いアレを吐き出してくれたような気分になった。闇の中でうずくまっていた私に、一筋の光が注がれたかのようだった。  その言葉、言ってもいいんだ……。  なぜ、このようなことを書いている? 私よ。
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