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話を戻そう。エンドロールの曲のイントロ部分が心地よい『波』のイメージがした。全体の作り込みがすごく好き。細部にこだわりがある感じがした。
たまに入る古すぎて細かすぎる話題にはついていけないが。実況しているようでしていない、嘘なDJであることも少し引っ掛かったが。お便りの返事が「(相撲の)親方のブログを読め」も気になったが。ラジオドラマだと思えば問題はない。
年齢の出し方等、勉強になることも多かった。上手に作られたパズルがパチンパチンとはまっていくようなアニメ。そのはまり具合が心地よい。綿密に作り上げられているように感じた。
波よ聞いてくれに惹かれた理由はそれだけではなくて、やっぱりみなれの元カレへの想いではなかろうか? みなれの言葉はことごとく私に突き刺さった。
どことなく既視感……。どこからどこまでもデジャヴュなフレーズ……。男って、みんな同じなんじゃなかろうか。よく聞くフレーズ。甘酸っぱい想いを思い出す。
みなれのモデルは私ではないか? という感じだった。というか、光雄が私の元カレに似ているのか? というか、女を騙す男というのはこのパターンしかいないのか? というくらいの酷似した体験を私もしたことがあった。
ゆえに、みなれが他人に思えなかった。当時、私もしゃべってしゃべってしゃべりまくった。酔っぱらって初めて会った麻藤さんに恋愛話をしてそれを録音されてラジオに流されるという体験はなかったが。
好きだった相手を忘れるためには、自分の中に溜めてはいけない。言えなかった想いを言えないままにしていたら、自分が壊れる。
とにかく口から吐き出すのだ。想いのすべてを。どんなに好きだったか。そして、どんなに屑だったか。私が好きでい続ける価値がない男であったことを、自分に納得させるために。
私に好かれるという最上級の幸福を自らぶち壊したクソ男を、これ以上想ってやる義理などないということを自分に思い知らさなければならない。そのための儀式が必要である。
振られました、泣き崩れます。
で、終わるか馬鹿野郎。
そこまでやってやる義理はどこにもねえ。
相手のためではない。自分のためにやらなければいけないことがある。
この話には、それがあった。みなれ自身が光雄にジャーマンスープレックスを食らわせ、それを聞いた麻藤さんがラジオドラマでみなれに光雄を殺させた。
実際に殺すのはダメです。
犯罪者になって、この後の人生を滅ぼしてはいけません。
こんなヤツのために死ぬのもバカバカしい。恨む心を持ち続け、後の人生を鬱屈した気持ちで過ごすのもダメ。
だから、自分の中で、光雄の存在を殺す儀式が必要である。それがラジオドラマで、麻藤さんがそれをショーにして、みんなで楽しんで負の感情を昇華させた。そして最終話でDJのやりがいを感じていて、失恋からの脱皮もあった。
そういう名作中の名作。
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