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今日も雨が降っている。
やまない雨が降り始めて、いったいどのくらいになるだろう。
まあ、いいや。それが何日目だろうと、もうどうでもいいことだ。
昼間だというのに、電気をつけていないこの部屋は薄暗い。
もう、光は消えたのだ。
まぶしい太陽も忘れてしまった。
俺は寝返りを打った。
スマートフォンが鳴る。
画面を見ると、やっぱりあいつだ。
会社の同期、森田夏織だ。
俺は無視してやった。
もう、あいつと会うこともない。
俺は、会社を辞めるんだから。
後悔なんかしていない。きっと上司も先輩も後輩も、俺がいなくなってせいせいとしていることだろう。
とその時、腹が鳴った。
クククッ。思わず笑ってしまった。人間、こんなときでも腹が減るんだな。
この部屋に食べ物は何もないが、買いに行く気も起らない。
外に出て、雨に濡れるなんてごめんだ…
雨は相変わらず降っている。
外に出ていないせいか、体がだんだん弱ってきているように感じる。
俺、このまま死ぬのか…
頭に、死がよぎった。怖い。と思うが、もうどうでもいいような気もする…
俺がこのアパートの一室で一人死んでいっても、誰も悲しむ者はいない。
だから、もういいや…
足音が聞こえてくる。
隣の住人が帰ってきたのだろう。名前も知らないままの隣人が。
しかし、足音はうちのドアの前で止まった。
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