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寝室の扉が開いて、紗絢が入ってくるが彩華は、布団を被ったまま顔を出してくれないので、紗絢は彩華の隣に行くと、優しく語りかける。
「彩華、ごめんね。いつもお仕事で寂しい思いさせて」
紗絢は、悪くない。悪くないのに素直に違うと言えない自分がいる。
彩華が黙っていると、紗絢は更に話を続ける。
「私ね、彩華とこれからもずっと一緒にいたいの。だからお仕事もちゃんとしないと、彩華と一緒にいられないって思って。クリスマスも年末年始も、ずっと彩華と過ごしたいの。だからお仕事終わらせなきゃって、それで彩華に寂しい思いさせたら意味ないのに、本当にごめんね。彼女失格だね......」
そう言うと、紗絢は黙ってしまう。
紗絢の身体が小刻みに震えている事に、彩華は気付いた。
(紗絢、もしかして泣いてる?私が悪いのに、紗絢は悪くないのに)
彩華は、紗絢が泣いてると思って、布団から顔を出す。
紗絢の方を見ると、紗絢は肩を震わせて俯きながら、声を押し殺して泣いていた。
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