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「瞳ー、おはよう!」
「おはよ!」
あれから季節は巡って、大学の入学式。
連絡先の交換すらしていないのであれっきりもちろん更科くんには会ってない。
「ねね、瞳!あの人めっちゃイケメン」
「ふーん」
イケメンに目がない菫(すみれ)があたしの肩をボンボンと叩くけど、更科くんがいない世界だなんて興味がなくてみる気にもなれない。
「ちょっとー、あんたもっと周りをみなさいよー」
「だって興味ないもん」
「いつまで会えない人のこと好きでいるの?想ったってもうあえないんだよ?」
菫のいうことはごもっともだけど、会えないからって忘れられたら苦労しない。
でももしもまた会えたなら.......それは運命なのかもしれないだなんて思ってしまう。
「あの夏休みからだいぶ綺麗になったよね。せっかく綺麗になったのにもったいないなぁー」
「あたしが綺麗になりたかったのは彼のためだから。綺麗って思われたいのはひとりだけだから」
「だからその相手にはあえないでしょーって」
「分かってるよ」
そんな偶然なかなかないし、運命なんてものないってことくらいわかっている。
そんなのはあたしが一番痛感してるって。
「わかってんならまずは目の前のイケメンから!ほら!」
スマホをみていたあたしの顔をグイッと前に向かせる。
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