第二話 冒険者ギルド

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第二話 冒険者ギルド

 皇宮を後にしたジカイラ達は、冒険者ギルドに立ち寄る。  冒険者ギルドは、革命政府によって解散命令が出されていたが、ラインハルトが皇帝に即位し、帝国政府が復活。各ギルドは、それぞれの活動を再開していた。  ジカイラは、冒険者ギルドの入口から建物に入ると、ルナに話し掛ける。 「隠密に探索に行くのにメイド姿じゃ、目立ってしょうがない。それに自分の身は自分で守れるようになってもらわないとな。」  ルナは素直に答える。 「判りました」  ヒナがルナに尋ねる。 「剣とか、魔法とか、何か得意なことはあるの?」  申し訳なさそうにルナが答える。 「・・・剣なら少し」  ジカイラは諦めたように話す。 「・・・そうか。軍属じゃないから、冒険者カードを貰って職業を登録して来てくれ」  ルナは明るく答える。 「判りました」  そう言うとルナは冒険者ギルドの窓口へ小走りで向かって行った。  ジカイラが所属したユニコーン小隊では、上級騎士(パラディン)のラインハルトと聖騎士(クルセイダー)のナナイという強力な上級職の前衛が居た。  しかし、今回の旅では、暗黒騎士のジカイラしか前衛職は居ない。  ケニーも近接戦闘はできるが、専門ではなかった。  ジカイラは考えるように天井を見上げる。 (まぁ、期待してはいないが・・・)  ギルドの奥から声がする。 「おおっ! ジカイラさんじゃないか!!」  ジカイラが声のする方を見ると、ギルドの奥から、フオフオ、ロマイヤー、プルアップ、ユーブラックの四人が出てくる。  首都攻略戦の際に秘密警察本部を襲撃し、正門前で秘密警察の戦闘員達の集団を相手に大立ち回りしていたジカイラは、冒険者ギルドでは『ちょっとした有名人』であった。  秘密警察相手に一緒に戦った戦友達にジカイラは笑顔で答える。 「久しぶりだな」  プルアップがヒナ達の方を見る。 「今日は彼女さん達も一緒かい?」  ヒナが照れながら答える。 「・・・はい」  ユーブラックが尋ねる。 「今日は、どうしてギルドに?」  ジカイラが答える。 「連れの職業を決めるのにな」  ジカイラがそういった矢先、ルナが窓口から戻ってくる。  戻って来たルナはにっこり笑顔で話す。 「軽戦士(フェンサー)になれました!」  ジカイラが答える。 「お? 決まったか。前衛職だな」 「はい!」  ルナを見た冒険者達が驚く。  ロマイヤーが口を開く。 「珍しいな。獣人(ビーストマン)か?」 「はい。三世(クォーター)です」  帝都では、人間以外の種族は珍しいため、冒険者達の注目がルナに集まる。  フオフオがルナに尋ねる。 「その獣耳(けもみみ)と尻尾は、本物なの?」 「本物ですよ!」  ルナは獣耳と尻尾を動かして見せる。  ジカイラが口を開く。 「職業が決まった事だし、オレは軍司令部に行ってくる。ティナ、ヒナ。ルナの装備を買ってやってくれ」  そう言うと、ジカイラはヒナにお金を渡した。 「判ったわ」 「ケニー、女の子達を頼むぞ。二時間後に軍の飛行場で会おう」  ケニーが答える。 「判った。ジカさん、二時間後に飛行場で」  ジカイラは四人と別れ、軍司令部へと向かった。   --バレンシュテット帝国 中央軍 司令部   ジカイラは、軍司令部に入ると受付窓口に行き、ラインハルトから渡された書類を見せ、受付の女性にに話し掛ける。 「『狼の(ヴォルフス)(シャンツェ)』行きの輸送飛空艇に五人乗せて欲しいんだが」 「少々お待ち下さい」  受付の女性は、ジカイラから渡された羊皮紙の書類に目を通すと、驚いた表情を見せる。  (・・・まぁ、ラインハルト皇帝直筆だからな。驚くのも無理はないか)  女性は、窓口の奥で手際よく運行スケジュールを確認すると、再びジカイラの所へ戻ってくる。 「帝国中央軍 特務部隊 ジカイラ()()ですね? 御要望通り、輸送飛空艇を手配致しましたので、飛行場の方へどうぞ」  ジカイラは、窓口の女性から自分の身分証と、輸送命令書を受け取る。  ジカイラは、皇帝ラインハルトの勅命を遂行するに当たり、帝国中央軍の特務部隊隊長として、大尉に昇進していた。  軍司令部で輸送飛空艇を手配したジカイラは、飛行場へ向かう。   --帝都ハーヴェルベルクの商店街  ヒナ、ティナ、ルナ、ケニーの四人は、ルナの装備を購入するため商店街に来ていた。  あちこちの店を回ってルナの装備品を買って行く。  胸当て、籠手、革ブーツ、ブロードソード、バックラーなど、小一時間ほどで一通りの装備が整う。  ただ、肌の露出が多いので、戦闘以外はローブを羽織ることにした。  ティナが皆に提案する。 「折角、商店街に来たんだから、皆でスイーツを食べて行きましょ!」 「賛成ー!!」  ヒナはティナの提案に賛同する。  ルナは戸惑いを見せる。 「良いんですか?」  ティナが笑顔で答える。 「遠慮しないの! 街でしか食べられないんだから!」  そう言うと、ティナはパーラーへ皆を連れて行った。  ティナは、フルーツパフェを人数分頼むと、ユニコーン小隊の事や仲間の事をルナに話し、ルナのことについても色々と尋ねた。  小一時間ほど今までの経緯について四人で談笑する。  店を出る頃には、女の子三人ですっかり打ち解けたようであった。  四人は軍の飛行場へ向かう。 --帝都ハーヴェルベルク バレンシュテット帝国 中央軍 飛行場  ヒナ、ティナ、ルナ、ケニーの四人が飛行場の待合所に行くと、ジカイラが待っていた。  ジカイラはルナの装備を見て口を開く。 「お? なかなか、冒険者らしくなったじゃないか。似合ってるぞ」 「ありがとうございます」  ルナは嬉しそうに笑顔で答える。  ジカイラが四人に話す。 「『狼の(ヴォルフス)(シャンツェ)』まで軍の輸送飛空艇に乗って行く。オレたちが乗るの飛空艇はアレだ。行くぞ」  五人は軍の輸送飛空艇に乗り込む。  帝国軍が建造した要塞『狼の(ヴォルフス)(シャンツェ)』は、革命により革命政府が占拠し麻薬製造工場にしていたが、現在は帝国軍が拠点にしており北西街道を警戒する拠点となっていた。  五人を乗せた輸送飛空艇は飛行場を離陸し、『狼の(ヴォルフス)(シャンツェ)』へ向かう。
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