星降る夜は何を願う

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既に日は傾き、辺りは闇に包まれつつあった。 今日は新月ということもあり、月が光を落とすこともない。さぞ流星群も綺麗に見えることだろう。 中里は路地に怪しい影はないかと 歩いて見て回っていた。 犯人は人を殺して姿を眩ましてしまう。 今日こそは犯行を犯す前に捕まえなくてはならない。 「クソッ…ここにもいないか…」 中里は必ず捕まえなければならないと 焦りを感じながら早足で路地を捜索する。 この日を逃せば次はいつ犯人が現れるかもわからない。 (半分くらいまで歩いてきたか… そろそろ高橋と合流してもおかしくないが…) 辺りは静寂に包まれており人の気配は感じない。 コツコツと革靴を鳴らしながら中里は歩を進める。 中里は最初の事件現場の近くを通りかかった。 その時、「ドサッ」っと何かが地面に叩きつけられる音がした。 中里は息を殺して路地を覗き込む。 目を凝らして見ると微かに人影が立っているのが見えた。 中里は突撃しようかとも考えたが、 相手がどんな武器を持っているかも分からない。 「おい、高橋、聞こえるか? 最初の事件現場に人影がある、すぐに来てくれ」 中里は小声で無線に話しかける。 が、高橋からの応答はない。 徐々に暗闇にも目が慣れてきて 人物の形が見えるようになってきた。 全身黒い服を来ておりフードを深くかぶっている。 その足元には人が倒れていた。 (まさか…高橋がやられたのか…?) 「おい、おい!高橋聞こえるか? 応答しろ、たかは━━━━」 中里の呼び掛けを遮るようにイヤホンから 高橋の声が聞こえてきた。
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