永遠の珍獣

18/18
前へ
/169ページ
次へ
「あ、んっ、のさっ、」 想像通り 「わか、ってたけど、んはっ」 新居らしき部屋のドアが閉まった途端 「は、なしを」 頭と身体をいきなり拘束されて 「あ、さひっ、てば」 2年と5ヶ月ぶりのキス 4年の間 こういった行為 内容は濃かったかもしれないけど 8度しか会えてないわけで その後2年半もの間 プロモーションビデオで 俳優さんとのなんちゃってキスシーンが数回あったくらい しかも、いくら歌詞に入り込んで演じてはみたものの 今この瞬間のようなドキドキ感があったわけでもなくて 「お、ねが、シャワーだけでも」 心の準備が欲しい、とか せめて綺麗な身体で、とか 何度も身体を合わせているのに、今更なのかもしれないけど それくらいは、猶予をくれたっていいと思うのよ、うん 「3分しか待てないから」 いつもなら、『短っ!』って突っ込んでるところだけど すでに息が上がっている朝陽 余裕なく欲してる表情が伝染して、何も言えなくなってしまう 手を引かれて、まだ引っ越し間際で荷物が積まれてるベッドルームを横切って、奥にあるバスルームに誘導される 「最低限のものは揃えてあるから自由に使って。あと2分12秒ね」 割と、冗談に聞こえない雰囲気が気になるところだけど 急いで裸になって、脱いだものを軽くたたんで さすが気が利く朝陽さん メイク落としと、浴場で歯を磨くアタシの為の歯ブラシも用意されてて感心する こういう細かいとこに気を配れるって、本気で尊敬するよ、うん 顔と身体を洗って、髪をほどいて、シャンプーを 「しばらく見ない間に、随分エロい身体に成長したんだね。」 え? 上から降り注ぐシャワーのお湯を払う暇なく 「なっ」 後ろから抱きしめられ、首筋を軽く噛まれる 「逃げないで」 耳元で囁かれて 壁に付けた左手に左手を重ねて握る 左肩に乗っていた右手が ゆっくり、ゆっくり 鎖骨、胸の間を通ってお腹から脇腹 まるで、身体の線をなぞるように滑っていく 「ん、は・・ぁ・・」 シャワーの音に甘えてしまって簡単に漏れる声 身体が仰け反って上を向くと シャワーのお湯が、顔を目がけて容赦なく振り落ちる 苦しくて、無意識に、朝陽の右手を掴んで動きを止めると クルリと向きを返されて 「・・嫌?」 頬を撫でられながら、悲しそうな表情をした水も滴るイイ男 「・・や、じゃ、ない」 「奏」 嬉しそうに微笑んだ朝陽 降り注ぐ水滴を吸い取るように 時々、強く吸いながら 軽いキスを身体中に施していく 首筋を丁寧に愛撫されるだけ立ってられなくなるくらい身体が震えるというのに 長い指の大きな手に胸を包まれて その手を追って唇が到着すると 今度はその手がゆっくり下降していく これから訪れるであろう更なる快感に 胸を躍らせながらも、少しだけ怖くなる不思議な感覚 大きく身体が仰け反ってしまって 背中にタイルの冷たい感触 その冷たさが心地よいくらいに身体が熱い バイアフリーの手すりを 卑猥な行為の命綱みたいに使ってしまっている罪悪感 捕まってることしかできなくて 声を抑えることもできなくて・・ 片足を挙げられ、全身を愛撫される イかされても イかされても 朝陽は容赦なくて 嬉しそうな顔をして、アタシを愛撫し続ける 「奏、つかまって・・」 身体を抱えられて 力が入らない腕を、だらりと朝陽の首に回す 「あさ、ひ、手加、減、して」 ベッドに寝かされ 避妊具の袋を歯で開けてる朝陽を見上げて言う 「期待しないで奏。俺だって2年半ぶりだし、多分長くもたない・・」 顔に張り付いている、ずぶ濡れのままの髪をよけたと同時のキス 唇を軽く合わせたまま 「奏、俺を見て」 目を開けると、見つめられていて 「んっ、あ、ん・・」 「は、・・奏、目を閉じないで・・」 ゆっくり ゆっくり なのに 「ああんっ、は、ぁ、」 「んっ、」 一気に、最奥まで突かれて、目を閉じてしまう 「やばい、もうイきそ」 声がして目を開けると、眉間に皺を寄せながら困ったように微笑む朝陽 「い、いいよ、イって」 髪をかき上げる色っぽい仕草を見てるだけで身体が震えるのはデフォ 「奏をきっちりイかせるまでは必死に耐えるから」
/169ページ

最初のコメントを投稿しよう!

692人が本棚に入れています
本棚に追加