ゴールじゃなくてスタート

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誕生日とクリスマス 『あと、246時間で逢える』 『明日、逢える・・やっと』 逢えるまでの時間を数えてる時間が 『やっと逢えて、抱き合えたのに』 『離れたくないのに、離れなくてはいけない・・』 逢えた時間よりも楽しいという、矛盾な気持ちを知った 互いに思う気持ちが同じ分だけ、寂しさも比例する 大学3年の3月 伊勢谷は、銀行から融資のストップ宣告を受け、事実上、倒産したも同然だった 兄さんが隠していた負債の数々が露わになり それまで伊勢谷を守ってこれた親父のすごさを知った 兄さんが買ったものは、『良いものなのに』機能しない 売れるとしても、何年後? そんな猶予はない 売れたとしても、大赤字なのは変わりない 話は単純 どうせ潰れるのなら、悪あがきしてからでも遅くない 男としての勝負なら、なんの迷いもない 大学4期生になって 伊勢谷の全指示を任された 透矢の全面的なバックアップ 伊勢谷の全財産を抵当に入れて、勝負を・・ 躊躇していた俺 強い意志で頑張り続けている、大切な人がいる その人を、守ってあげたいと思う『プライド』が邪魔をする 22歳の誕生日 お互いに、身に着けるものをプレゼントし合うと決めた約束 奏は、夜景のような小さな星が降るダークブルーのネクタイと、ダークブルーのサファイアが埋め込まれたネクタイピンをくれた 「んで、朝陽さんよぅ。一体、何をそんなに思いつめてるわけさ」 鈍感なのに、察しが良くて 天然なのに、直に突いてくる 何も話してないのに 必死で隠してるのに わかってくれるという、この嬉しさ 苦笑いするのが精一杯 今のままで行っても、多くの人に迷惑かける それは俺も同じで、俺も何もなくなる それだけでも、奏には言いにくいこと だけど、何もなくなっても、ひとつだけあればいい 奏 それだけ 失敗なんかしたら、奏を幸せにはできなくなる それ故、奏を失ってしまう 俺が1番怖かったのは それだけ
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