ゴールじゃなくてスタート

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「柊さんの事務所側の要望で、透矢さんと同じマンションを借りました。わかってると思いますが、これは最近のスキャンダルに対するカムフラージュも兼ねています。どれくらいの期間住むことになるか不明ですが、結婚出産も視野に入れて、4LDKの間取りとなってます。」 仕事モードの恭介は、淡々と話す 「車は社長の要望通り、ハイブリット車を手配してあります。納車はわがままを聞いていただき、明日。車種は僕の趣味です」 「趣味?」 「きっと気に入ると思います」 「わからないだろ」 「いえ、絶対に、気に入ります」 仕事モードの恭介は、頑固だ 「明日の晩から3日間のオフは取ってありますが、あくまでスケジュール上のことなのでご了承を」 「わかってる」 言いたいことを言い終わったのか ファーストクラスの椅子に深く座って足を組む恭介 「このくそ忙しい時に、急に帰国だオフだ、そんなに重要な女なのか?」 プライベートモードの恭介は、かなり口が悪いし 「俺の全てだ」 「ふーん」 この4日、ろくに寝てないのもあるけど、態度も悪い(笑) 「会えばわかる」 「どうかな」 「先に言っておくが、惚れても渡さない」 「ないない」 「どうかな」 俺より5つ年上の恭介は、4年前、俺に付きたいと親父に願い出て、俺と同じアメリカ支社に転勤した それがあってこそ、今の俺達があるわけで 恭介と信頼関係を築けることができたことも、俺の財産のひとつなんだけど 「歌はすごいとは思う」 「固まるね(笑)」 恭介が渡米して1年 結婚を真剣に考えてた恋人に浮気され、破局 「ダンスも普通じゃないことは、素人の僕にもわかる」 「いくらプロに仕込まれてると言っても、膝に爆弾を抱えてるようには見えないよね(笑)」 遠距離恋愛はありえないと言ってるし 熱愛報道を何度もされている奏のことも良く思っていない 「・・でも浮気性だ」 「してないから(笑)」 「じゃ、今回は何でだよ」 「・・相手が悪い」 「・・まぁ、そうだけど」 でもきっと、恭介も、奏のことは気に入る 透矢と恭介は似ているんだ あの透矢でさえ、あれだけ甘やかせた奏だから・・
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