ゴールじゃなくてスタート

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相変わらずのメンバーに笑わせてもらいながら、挨拶廻り続行 奏側の関係者は、俺の独断と急だったこともあって呼べなかったけど 「密な人少人数だし。友達少ないから気にしないで」 なんて言っていたけど さっき、奏にも内緒で勝手に計画したこともカメラを前にして伝えたから問題はないかな いつの間にか仲良くなっている恭介と松岡さんが一緒に飲んでいて 「今日は氷点下じゃないね、あの2人。良いことだ、うん」 ニュアンスはすごくわかる(笑) 「うわー、かなり引くわー」 奏の視線を追うと、そこにはベタベタに寄り添った男女 お義母さんと、恋人のお医者さんだ(笑) 「お義母さん、今日はわざわざありがとうございます」 嫌がる奏の手を引いて挨拶をすると 「イケメン朝陽!さっきのかっこよかったわよ!」 いつものお義母さんで安心する(笑) 「こちら、私のダーリンなのー」 奏は顔を引きつらせたままだ(笑) 「初めまして、伊勢谷と申します。お忙しい中、ありがとうございます。今日はプライベートなので名刺を持ち合わせていなくて、申し訳ありません」 「いえいえ、とんでもありません。河野の言います。本日はおめでとうございます。お招きいただいて恐縮です」 紳士的で優しそうな先生で、安心する 「かたっくるしーなーもう。飲もう?ね?朝陽、料理最高だよ!さすがだよ!」 「喜んでいただけて良かった(笑)」 「せんせーいいの?こんな母親でいいの?考えた方が良くない?」 「お黙り!あんたが言うな。それを言うなら、朝陽、こんなバカ娘でほんとにいいわけ?今ならまだ間に合うわよ!」 相変わらずの親子のやりとりは、河野さんも承知している様子で 自然に河野さんと目が合って、互いに苦笑してしまった そして、最後の難関とも言うべき一角に向かう 「初めまして、柊 奏と申します。今まで一度もご挨拶にも伺わず、申し訳ありません。」 実に奏らしい行動だった だけど その華麗な姿に、一瞬見惚れてしまった俺 「初めまして、奏さん。朝陽の父、伊勢谷守です。あなたにも、長い間、辛い思いをさせてすまなかったね。朝陽を支えてくれてありがとう。」 「とんでもありません。私は何も」 「乾杯していただけるかな、奏さん」 「はい。嬉しいです、この上なく」
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