万年二位

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だいたいさ。数学の教材室って、なんなんだよ、必要なのかよって思う。 結局は、ヤクザのサボり部屋って暗黙で言われてるんだけどさ。 「・・・ひーらぎでーす」 ヤクザのサボり部屋をノックすると 「どーぞ」 むかつく教師の声がして、ドアを開ける。 西陽が差し込む窓際に座って、タバコを吸ってるヤクザ桐生のシルエット。 無駄に長くて邪魔そうな足を伸ばして咥えタバコとは 人に仕事押し付けといて良いご身分だな、おい 「PC使いますよー」 「ん、頼む」 こっちを見て言ってるけど、西陽の逆光で顔が見えない。 ふんッ! って思いつつ、ヤクザを横目で見ながら、PC前の椅子に座る。 恋愛経験がないアタシにでもわかるよ。 あんたの大人の色気ってのがよう。 まぁ、残念ながら、無駄にダダ漏れすぎだ(笑) 心の中で『うけけけけけけ』と笑いながらエクセルを起動。 プリントをガン見して、頭に叩き込んでから、一気にキーを叩きまくる。 タイピングには、多少の自信あり。 しかも、脳みその構造もイイ方らしくて、成績も良い方だ。 ・・・・万年学年2位だけどなっ! 文章を打ち込んで、表を作り、読みやすいように罫線で囲みを追加 「できました。確認おねがいしまふ」 椅子から立って、PC前の場所を空けて言うと 「・・10分弱か。」 窓際の棚の上から長い足を下ろしてPC画面を覗き込み 「さすがだな」 あんた、その10分、ずっとボケーっと外眺めてやがったけどなっ! 「万年2位ですけどねぇ」 「性格うんぬんは置いといて、万年2位なのは気にするな。運が悪かっただけだ。」 別に1位にこだわってるわけじゃないけど、アタシもそう思う。 相手は、あの完璧王子、伊勢谷だ。 相手にするだけ、無謀で、無駄な動力に疲れるだけ。 つーかさ。 「・・・性格うんぬんは置いとけ、だと?」 このヤクザ教師め・・ 一言一言、余分だろ、このやろう 「うむ。これでおk。プリントアウトして300枚コピーで頼む。」 「へいへい」 こいつは本当に、この口の悪さをどうにかすれば、もっと良い教師になれるんじゃなかろうかと思う。
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