696人が本棚に入れています
本棚に追加
「家とか生徒会室のPCでもできるんで、持ち帰ってやりますし?」
「コピーは?」
「挟んでボタン押すくらいできるでしょう?」
「・・・面倒」
「・・・シネ」
「今、なんつった?」
「いえ、なにも。」
はぁあああああああああ
話になんねーぜ、こいつ。
疲れるだけだ。
退散だ、退散。
「ごちそうさまでしたー」
自分のカップとヤクザ桐生の空いたカップを持って、流し台でササッと洗い
「んじゃ、二度とここには来ませんのでよろしくー」
そう言って、部屋のドアを開けると
「柊」
「泣いて拝まれたって来やしませんよっ・・って、えっ!?」
呼び止められて、振り返った瞬間、なにかが飛んできて、キャッチする。
「うわっ!モモ尻ちゃんやないの~(ハート)」
手の中には、アタシの大好きな幸薄そうなキャラクター
『モモ尻ちゃんストラップ』
しかも、限定発売のレアものだ・・・
ほ、欲しい・・が、物で釣られるわけには・・いかない・・
「珍しいの見つけたら手に入れてやるよ」
「ほんとにっ!?」
・・・・・・・・あ。
「あぁ、またな」
これって、釣られたことになるのか?
いや、今、突き返せばいいんだ。
でも・・・
この、いかにも幸が薄そうなだらしない顔のモモ尻ちゃんが
『見捨てないで』
って、言ってるんだよ・・・。
「・・・・じゃ、また・・・」
アタシは、力なく呟いて、部屋を出た。
「ぷっ・・」
閉めたドアの向こうで、ヤクザが吹き出した声が聞こえたが
・・・・・・モモ尻ちゃんは見捨てられなかったんだ・・・。
最初のコメントを投稿しよう!