Just a Kiss

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「・・大丈夫だよ。健全な男の子の事情だから」 「へ?」 「焦ることないんだよ。こうして一緒にいるんだから」 「は?」 「柊、DVD観ながら寝ようか」 「あ、うん・・って! もう2時回ってるんだ」 時間の速さに驚いて 「歯、磨いてきていい?」 「俺も。一緒に行こうか。」 テーブルに置かれた瓶底を装着して、洗面所に走って歯を磨く。 後から入ってきた伊勢谷と並んで歯を磨いてると、鏡越しに目が合って・・ なんだか、恥ずかしいね、こういうの。 「すぐ目を逸らす」 「こそばゆい」 「そこから気長に慣れさせなきゃダメなんだってわかったよ」 「どういうこと?」 「俺の脳内整理」 「・・ふーん」 伊勢谷の頭の中は、きっちり整理整頓されてそうだ、うん。 「行くよ」 「ん」 洗面所から出るのも一緒 しかも手を繋いでとか、なんだか笑えるけど やっぱり、こそばゆい・・ 「『Streets of Fire』なんてどう?」 「うわ!あるの?観たい観たい!」 「おk。スクリーン出すからベッド行ってて」 ベッド・・・ ワンフロアの奥には、大きなベッドが置いてあるのは知ってる。 壁に、でかいスクリーンが降りてきたのも見える。 つーか・・・ やっぱり、2人で、寝るわけ、だよね 「ふ・・」 リビングの電気を消して、ベッドスペースに来た伊勢谷が小さく笑う 「俺、奥行くね。」 先にベッドに入って、スクリーン側のシーツを開いて 「おいで」 肘をついた手に、頭を乗せて微笑む伊勢谷王子の、なんとも絵になる図ったら・・ 「・・・なんか、エロい」 「ふ・・そういうのはわかるんだ?」 「わかるよ。バカにするな。」 「早くおいで。暖房切ったから寒くなるよ?」 「・・・・。」 「ほら、始まるよ」 オープニング曲の前奏が聴こえて あっ!と思ってベッドに入って、伊勢谷に背を向ける。 「はい、リモコン」 背後からリモコンがアタシの前に置かれて 「ひゃ」 そのままお腹を抱えられて、身体ごと引き寄せられた。 「そんなに緊張しないの。伝染するでしょ?」 「む・・無理」 「ふ・・可愛い」 「可愛くないし。」 「Lying in your bed and on a Saturday night 同じだね(笑)」 「あー、ほんまやね!」 「なぜいきなり関西弁?(笑)」 「『あなたのベッドで、土曜の夜に横たわる あなたは暑くないのにバケツを吸っている』」 オープニング曲の歌詞を、2人で聴く。 「ちょっと待ってよ。バケツ吸うって(笑)」 「えー。」 「あはは!直訳的にはそうかもしれないけど、おかしいよね(笑)」 「じゃ、伊勢谷ならどう訳すのさ。」 Lying in your bed and on a Saturday night You’re sweatin’ buckets and it’s not even hot 「『土曜の夜、あなたはベッドに独りきり 汗をかき悩みを抱いてもがいてる』かな」 「えー。どうしてそんなんなるの。ロマンチストめ。」 But your brain has got the message And it’s sending it out To every nerve and every muscle you’ve got 「『脳味噌の中に、ずっと伝言を持っている。それも今、発信中。あなたの全神経へ、全筋肉へと』」 「『あなたの夢はやり場もなく錆び付きそう 思い切りその身を解き放てばいい』」 「伊勢谷、映画の観過ぎ!世界観が壮大過ぎ!」 「あはは!脳味噌って(笑)」 2人で、和訳しながら遊んで 「『私は独りで生きていくつもりだったれど あなたに支えてほしい 今夜がその時よ』」 「『車に飛び乗り2人 遠くへと旅立つの 待ってるよ 今夜 待ってる』」 「飛び乗りじゃなくて、乗り込みじゃなかった?(笑)」 「飛び乗った方が雰囲気でるかなって思ったんだってば」 「あぁ、それはわかる(笑)」 「でしょう!?」 「やんちゃな柊らしいよ(笑)」 笑い合って、勉強にもなる。 「小学生の時、この映画を観たんだけど、衝撃的にかっこよかったな・・」 「柊の方が数百倍かっこいいよ」 「アタシは、こんな色気ないし」 「ううん、歌ってる時の柊はやばいから(笑)」 「お化粧ってすごいよね。」 「ふ・・化粧だけじゃないけどね。」 「すごく憧れてたけど、口パクって即わかっちゃうとこが残念だ・・」 「もうそこで柊とは雲泥の差があるよね。迫力が違う。この人は魅せるだけ。柊は両方を兼ね備えてるよ。」 嬉しいこと言ってくれて 「まじでっ?」 振り返って、伊勢谷を見上げると 「うん、まじで(笑)」 チュッ 「っ!?」 優しい笑顔の伊勢谷が、チュっとキスをした ・・いきなりのコレは、反則ですよ伊勢谷さん。
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