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ぎゅっと抱きしめて、フフっと笑った伊勢谷に、心がほんわかする。
着やせするくせに、すごく硬い身体。
大きな背中に、分厚い胸板・・・・・
くっついてるだけで、ドキドキが止まらない。
「すごく・・引き締ってるんだねぇ」
「柊は柔らかい・・」
伊勢谷とアタシの身体に挟まってたアタシの右手が
伊勢谷の手で引き抜かれて
自分の首に回すように促されて・・・・抱きしめ合う。
「伊勢谷の匂い・・」
「柊の匂い・・甘い・・」
背中をゆっくり動く伊勢谷の優しい手に、ゾクゾクして・・・
「キス・・したいんだけど・・」
・・・・えっ?
アタシ、今、何て言った??
意識しないで出てしまった言葉。
正気に戻って、焦って固まる。
「・・・・・・。」
伊勢谷の動きも止まっていて。
身体が少し離れて・・見つめられてしまった。
しばらく、そのまま
あの、ものすごく、恥ずかしいんですけども・・・。
「・・・えっと」
「したいなら、柊からして」
えっ!?
「キス、したいんでしょ?」
こ、こ、この、どSめ
「早く・・柊・・」
目の前で、目を閉じて。
キスを待っている風???
えー。こうくるの?
こんな展開もアリなの?
「柊・・」
伊勢谷の肩に手を置いて
ルーブル美術品のような顔に
目を閉じて、近づける・・・
緊張しすぎて、震えてしまって
でも、頑張って
鼻と鼻が当たっちゃったりしたけど
チュ
一瞬だけど、伊勢谷の薄いのに柔らかい唇に自分の唇を合わせた。
目を開けた伊勢谷と、至近距離で目が合う
多分、アタシの顔は、絶対に真っ赤で
恥ずかしすぎて顔を背けようとした瞬間
仰向けにされて、上から伊勢谷に見つめられる
「・・・奏」
また、名前で・・
顔を傾けるのは、鼻と鼻が潰れないためになんだ
伊勢谷の顔が近づいて来て、そう思った。
唇が重なる
唇が触れるだけのキスに、心が震える
息を止めてるし、息をしていいのか困ってると
伊勢谷が逆側に顔を傾けた際に離れた唇
絶好のチャンスだと思って、息を吸い込もうと・・
「んっ、ふっ・・!?」
ま、ま、待って!
なに今の声!
自分の声にびっくりして、開いてしまったのか
「あっ・・っ!?・・ふぁ・・」
伊勢谷の舌が・・・
口の中に入り込んできて・・・
吸い付くように
アタシの舌を執拗に追いまわす
どうしていいのかわかんなくて
身体が無意識に、伊勢谷から離れようとするけど
伊勢谷の右手が、アタシの後頭部に移動して
まるで、逃げるなと言わんばかりに、固定される
逃げ回ってるのに捕らえられる舌が
絡みあって、吸われて、這って、撫でられる。
「んんっ・・はぁ・・」
何度も何度も
角度を変えて
息が熱くなって
声が漏れて
寝ているのに
立ちくらみするような感覚で
目の前が、真っ白になっていく
キスが
こんなに気持ちいいものだってこと
初めて知る
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