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「10日と11日の連休で、4人で旅行に行こうって話が出てんだけど、柊から聞いてるかー?」
「ううん、初耳。どういうこと?」
昼休みの屋上。
柊と浜崎は、ガールズトークがあるからとかで、今日は啓太と2人で昼食。
「柊があんまり乗り気じゃねーみたいなこと言ってたらしいけど。」
「4人って、啓太達と俺達ってこと?」
「それ以外に誰なんだよ」
「いや、確認で聞いてみた。」
そうか。
Wデートってやつだね(笑)
「なに、お前ニヤついてんの?キメーんだけど。」
「うるさいよ。楽しそうだなって思っただけだろ。そもそもなんで俺達2人で昼食べてんの?それこそキモいんだけど。」
「あー、それ、さっき俺も思った(笑)」
「ガールズトークってなんだろう。」
「お前が一緒に泊まってヤんなかったからだろ。その件についてじゃねーの?」
「・・そんなことまでお前に筒抜けなわけ?」
「柊だって色々不安なんだろーよ。初めてなわけだし」
「・・お前に言われるとものすごく嫌な気分になる。」
Wデートというものに少し浮ついた自分、撤回。
柊と啓太達は、仲が密すぎて俺ひとりが面白くない。
「福引かなんかで宿泊券が当たって、それを誕生日プレゼントとして柊と一緒に行くんだってさ。」
「誕生日プレゼント?」
え?
「俺とお前は自費同行だと。6日誕生日当日は2人で会うだろうから日にちはずらした方がいいとか、」
「ちょっと待って、柊の誕生日?6月6日?」
聞いてない!
いや、聞きもしなかったけど!
「・・おいおい。アニバーサリー系は要チェックだろーがよ。恋愛偏差値低すぎだ伊勢谷王子様よぅ」
「メロンパン食べてる場合じゃないじゃん、俺。」
そうだ、そういったイベントって大事なのに!
「よく食えるよな、そんな甘いの」
「これしか残ってなかったんだって。そんなことよりさ、」
「自分で考えろ。俺に聞くなよ。」
「・・・ケチ啓太」
携帯を手にして、ライン画面を出す。
だけど、手が止まる。
何て打つ?
何か欲しいものあるか?
そんなこと聞いたところで
多分、柊は何もないって言いそうだ。
いや、絶対に言う。
「啓太、次の授業、俺サボるから」
「了―。せいぜい悩め。ケケケ」
屋上を後にして、生徒会室に急ぎ、PCを起動する。
『彼女 誕生日 プレゼント』
検索すると、色々な情報が溢れ出す。
洋服だとか靴だとか・・・下着だとか(笑)
色々、あるんだなぁと、思いつつも・・・
やっぱり、アクセサリーに目が行ってしまう。
お揃いで、って、いいよね(笑)
時計は、透矢が高校入学の時に買ってくれたオメガを愛用してる俺
オメガなんてプレゼントしたら、泣いて怒りそうだ(笑)
ネックレスは、首輪
ブレスレットは、手錠
アンクレットは、足枷
指輪は、所有の証
時計は、時間的な束縛
って。
怖いこと言うんだね(笑)
もっと、他に言い方なかったのかなって、思うんだけど(笑)
やっぱり、指輪かな。
『THE KISS』
キュービック ブラックキュービック
クロス シルバー ペアリング
これいいじゃない!
値段的にも3万くらい。
これくらいなら、文句も言われなさそうだ。
やばい・・・
所有の証
って言葉が、すごく嬉しいんだけど(笑)
取り扱い店を調べて、啓太にラインを送る。
『浜崎に、柊の指のサイズをさりげなく聞くように頼んで。急ぎで。左手の薬指ね。』
俺は、めちゃめちゃ浮かれながら自宅に戻り、バイクに跨った。
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