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「まだ引かねーんだな、まさかの柊見学者(笑)」
「うるせー、青」
近頃、隣のクラスの青が、頻繁に柊をいじりに来るようになった。
「お前がいじめられてんじゃねーかと思って様子見に来てやってんだよ俺は」
「だから、パコパコ人の頭叩くなって言ってんだろおおおおお」
青が持ってた丸めた雑誌を取り上げて、柊が青の頭をボカスカ殴ってるこの光景はいつものことで。
啓「お前ら、うるせーよ。寝られねー」
春「浜崎、啓太はいつも寝てるわけ?つまんなくない?」
浜「慣れっこだよ、もう。」
春「かわいそうに。はい、レモン味あげる。」
浜「ありがと春―!」
生徒会で、柊と笑い合えてる青が羨ましくて
思いっきり、嫉妬・・・だったよね。
見てて面白くなかった2人の姿も、今では普通に笑っていられる俺。
ごめんね、青。
「浜崎、この前はありがとう。すごく助かったよ。」
「ううん、全然!」
指輪のサイズのお礼を小声で言う。
「あの時、実は奏とね?」
「うん?」
「んー、やっぱ言わないにする!」
「え?」
「サプライズって大事だよね!」
・・・・意味がわからない
・・・・柊の親友なだけあるよ(笑)
青「あー、そこ!隠れてイチャイチャして・・なんだっけ、夫婦交換のやつ」
春「スワッピング?」
青「それだー!伊勢谷に騙されたら俺が拾ってやるからな、柊。」
浜「んなわけないっしょ、バカ青」
柊「もう黙ってくれよ、青!」
啓「ほんっと、うるせーよ、お前ら!」
春「これから帰るって時に寝ようとする啓太が不思議だから(笑)」
啓「俺、夜ライブなんだっつーの!今しかねーの!」
青「んなの俺だって同じやん?」
春「俺も俺も(笑)」
見てて楽しいし、聞いてて笑いが絶えないし
このままみんなでいるのも悪くないんだけど
「そろそろ俺達帰るね。柊行くよ(笑)」
「あ、うん。」
柊が荷物を持って、俺の後ろに立つと
青「やべぇ・・珍獣柊が素直でキモ(笑)」
柊「うるせーバカ!」
春「可愛い柊。はい、レモン味」
柊「ありがと春!」
啓「・・だからよぅ、俺はゴミ箱じゃねーっつってんだろおおお」
柊「うけけけ」
浜「奏、いい誕生日を!」
青「あ、そうだ。2人おめー!」
春「伊勢谷も柊もおめでと!!」
啓「おめおめ。年取った分、ゴミはゴミ箱に捨てる子に成長しろよー。」
朝「ふはっ!ありがとう。じゃ、お先」
柊「みんな、ありがとー!良い休日を!うけけけ」
へんな笑いをする柊の手を引いて、教室を出て
俺達を珍しそうに見てる生徒達の間を縫って、堂々と歩く。
「ねぇ、柊」
「なんすか、伊勢谷王子」
ブレない面白さなんだけど
「今キスしていい?」
「んなっ!?なんでだよ!ダメにきまってんだろう?」
照れる彼女と2人でスーパーで買い物。
2人でちっちゃなケーキを一つずつ買った。
包丁さえ持てない俺は、キッチンに立って、俺のために料理をしてくれてる柊の手伝いをしたくても、玉ねぎの皮を剥くのさえ、足でまといで・・
「皮むき器100均で買ってくれば良かった、めんどっちーな、もう!」
なんて言いながら、ササッとじゃがいの皮も人参の皮も、剥いてしまう包丁さばきには驚きで・・
「激しく邪魔な上に、ガン見されてやりにくい」
すごく悲しいことを言われても、見ていたくて・・
だって、すごいんだよ。
これ作ってる間に、あれやって、それやってる間に、これ片付けてって
手際が良すぎて、真面目に感心しながら見てたんだ。
だけど
傍にいたくて、触れたくなって、後ろから抱きしめると
「いい加減、うざい」
包丁シャキーンって感じで言われて(笑)
かなりショックを受けた暇な俺は、シャワー浴びて
読書してる振りして、キッチンの柊を盗み見て
柊の作ってくれたハンバーグとクリームシチューは、ものすごく、美味しくて・・・・。
「また、作ってくれる?」
「こんなのでよければ、いつでも作るよ。」
柊にとっては、『こんなの』なのかもしれないけど
俺にとっては、泣きそうになるくらい嬉しすぎる言葉だったんだ
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