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目を見開いて、驚いた。
きっと、かなり間抜けな顔をした。
「本気なの?」
目一杯上がってしまった眉毛を元の位置に戻して、彼女をちゃんと見る。
真剣な眼差しで、俺を見てる。
若干、眉毛が寄っていて。
口を尖らせて、拗ねてるみたいだ。
可愛い・・
いや、今はそんな場合じゃない。
好きな女の子に、こんなに想われてることが嬉しくて
好きな女の子に、こんなことを言わせてる自分が情けなくて
「わかった」
腹を括る。
「今日は途中で寝かせてあげるつもりはないから、そのつもりでいてね。」
彼女を、真っ直ぐ見て言う。
俺を見つめる彼女の目が揺れたのは、気づかないことにして
『Hotel Desire』という、エロいDVDをプレイヤーにセット。
リビングの明かりを消して
さりげなく柊に近づき、チュっと、軽くキスをしてから
彼女の手を握り、ベッドに連れて行こうとすると
「あっ、あのっ、伊勢谷、あのね」
俺の手を振り払って、走って行ってしまった。
なに事かと思えば、小さい紙袋を手にして戻ってきて
「伊勢谷の趣味とかわかんなくて、だから、アタシが勝手に選んじゃったんだけど」
小さい紙袋を渡された
「・・開けていい?」
「うん。もちろん。気に入ってくれればいいのだけど・・」
紙袋の中には、箱が2つ入っていて
「伊勢谷は、リボンが青い方。」
「赤いリボンは?」
「えと、お揃いで、自分のも買ったんだ・・あ、お揃いとか、嫌だったりするのかも知れないのかな!」
不安そうに俺の顔を伺う彼女
「嫌なわけないでしょ?」
リボンを解いて、箱を開けると
先日、ネットで見た、いいなと思った『4℃』のダブルループのネックレス。
「柊、付けて」
「う、うん!」
ソファーの上に立って、後ろから手を回されるだけで、ドキドキするけど
「うん、いい!顔がイイからなんでも似合うよ!」
「ふはっ!柊のも貸して。付けてあげる。」
「うん!」
彼女を鏡の前に立たせて
後ろから彼女の首にネックレスを付けると
「ふふ・・絶対に外さないんだ・・」
俺の首にかかってるものと自分のを交互に見て
本当に嬉しそうな顔をするもんだから、もう・・
「・・俺も、外さない」
俺のために選んでくれて
俺のために買ってくれて
しかも、考えてたことも一緒で
胸がいっぱいで
とにかく嬉しくて
彼女を抱きしめて
「やばい。俺、幸せすぎて罰が当たりそう・・」
身体が、震える
「好きすぎて、死にそうだ」
嬉しそうに、でも何も言わずに俺を見つめる彼女の眼鏡を外す
見つめ合って
すべすべな頬を撫でて
キスをする
怖がらせちゃいけないと思ってはいても
ついさっきも、腹を括ったはずなのに
深くなるキスを止められなくて
このまま食べてしまいたくなって
このまま溶け合えたらいいのにって
本気で思う
俺の肩を掴んでた彼女の手から、力が抜けていって
俺の息も熱くなると、彼女の吐息が漏れる
すでに酸欠状態の彼女は、足をガクガクさせていて
立ってることさえ辛そうな身体を支えるために、腰を引き寄せる
「首に手を回して・・」
「ふぁ、あっ!?」
彼女の耳元で言って、彼女を横抱きして持ち上げる
「やぁ・・はぁっ・・」
突然、抱き上げられて驚いた途端、俺が彼女の首筋に噛み付いたものだから
体を丸めながらも、艶かしい声が漏れる・・
咄嗟に反応した彼女の声に、理性が飛びそうになったけど
落ち着け、俺
彼女は、初めてなんだから
彼女をベッドの上に寝かせると
「・・・柊、スクリーン観て」
ドイツ映画『Hotel Desire』
映画なんだけど、ほぼAVのような無修正のベッドシーンが始まろうとしてる。
愛し合う2人が絡み合う描写が美しく描かれてはいるけど
・・・多分、彼女には、強烈すぎるかな
「わかってると思うけど、今からすることだから」
黙って頷いて、スクリーンを見つめる彼女を、後ろから抱きしめる
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