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「・・・なんで、こんなことになってんだろうか」
エレベーターの中での言い合い。
腕を掴まれたままエレベーターを降りる。
「それを柊がいくら考えても答えは出ないってわかってるでしょ?俺が全て強引なだけなんだから」
ほんと、その通りだよ。
「やっぱそうだよね?全て、あんたのせいだよね?」
「うん。そうだよ。さぁ、どうぞ」
伊勢谷の家のドアが開かれ、入れと催促される。
「・・・反省して考えを改め、アタシを帰す気にはならないのか?」
「誘拐まがいなことをしでかしてまで、やっとここまでこぎつけたんだよ。今更そんな気にはならない。」
「・・・どういう意味?」
入る気はない。
「ちゃんと話すから、とりあえず入って。お腹減ったでしょ?」
「お腹はめちゃめちゃ減ってる」
「デリバリー、時間かかるかも」
「・・・・・・。」
だけど、腹が減っては戦はできぬ と、言うであろう?
とりあえず、王子伊勢谷が、おかしなことはするはず・・・
・・・・って。
ないと、言い切れるのか?
「やっぱ、帰る」
うん。
やっぱさ、いきなり男子の家っつーのは、女としてダメでしょ。
はしたない。かーさんに張り倒されそうだ。
「え、ちょ・・」
後ろを振り返ると、当然のように伊勢谷がいるわけで、腕を掴まれる
「ここまで来て帰るって、本気で?」
「本気と書いてマジと読む。腕を離せ。眼鏡を返せ。」
伊勢谷との顔の距離、またまた50センチといったところか
目は、ちゃんと合ってる。
だから、少し睨みを効かせながら、拘束されてる左腕とは逆の右手を出したのに
「本気で本物だね、柊って・・(笑)」
「・・は?どういう意味?」
「ごめん、柊。説明してあげない。」
「へ?え?ちょ!」
左腕を掴まれたまま、玄関の中に引きずり込まれて。
カタン、カチャ
ドアが閉まる音とオートロックが閉まる音
そのまま靴を履いたまま、ズカズカと部屋の奥に引っ張って行かれ・・
「おい、こら!靴っ!」
「もういいから。そのままで」
「いいわけがなかろうっ???」
「じゃ、脱がせてあげるから座って」
「はぁ?」
「座って」
「偉そうに!」
ソファーに座る座らないで、なんでこんな言い合いになってんの
「言うこと聞いてくんなきゃ強行突破するよ」
「もうされてるっつーのっ」
伊勢谷の口調が、いつもの口調じゃなくて
「座って。じゃないと・・」
なんか、怒ってる?
「じゃないと?」
だけど、勘違いすんな
「押し倒すよ?」
怒りたいのは、アタシの方だっつーの!
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