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「おし、たおす、だと・・・・?」
「本気だよ、俺」
「ひぃ!?」
・・・一瞬でグルンと身体が反転?
ソファーの上にバフっと仰向けに倒されて
真上には王子伊勢谷の綺麗な顔のどアップに固まってしまった
声も、いつもの伊勢谷じゃないし
目も、いつもの伊勢谷じゃなくて
これってのは、つまり、アレだと思う
エロい目
いや、ちょっと言葉がアレか
雄の目
これだ。
王子伊勢谷じゃない、男の目。
いつもの王子スマイルな優しそうな目じゃない目。
その目から、逸らせないのはなぜなんだろう
逸らさなきゃいけないって、胸の鼓動が警告を発してるのに。
男の顔をした伊勢谷が、あまりに妖艶で、綺麗で
ずっと見ていたいとも思ってしまって・・
人の表情って、こんな風に変わるんだ・・・とか
全て完璧なパーツ達が、嫌味なくらい完璧に整ってやがる・・・とか
男のくせに肌まできめ細かくて、ほんと憎たらしいくらい完璧だな・・とか
「・・・柊」
あ。
「この状況わかってるの?」
また、意識なかったよね、さーせん・・・
「いや、むしろなんでこうなってるか・・」
アタシを守ってくれてたのか、伊勢谷の両手は、アタシの頭の下と腰の下にあって
いや、勝手に押し倒したのは伊勢谷なんだけどさ!
「無防備に意識飛ばしてる場合じゃないでしょ?」
「あんたがイイ男だからいけないんでしょーが!」
自分の両手が自由なことに今更気づいて、伊勢谷の身体を押し上げようとしたのに
「空手2級とか初段とか関係ないんだ。俺は男で、柊は女の子なの」
「・・・それを今、あんたが論すな」
あっさりと両手を拘束されてしまって、動けなくなってしもた・・
「・・とりあえず、どけ」
「ねぇ、柊」
どいてから話しやがれ、このやろうって目で見る。
「・・・キス、していい?」
・・・・・・・・・・は?
「だ、だめ!なんで?アホか!離れろ!」
バタバタしても、悔しいくらいに、敵わない。
・・のをいいことに、このやろうは
「・・柊と、キスしたい」
耳元で掠れた色っぽい声で囁きやがって
「・・・っ!?」
なんなの、今の、ゾクゾクってのはっ!!
「ちょ・・待ってっ」
「もう、かなり限界」
「いや、それはなんとなく伝わってきちゃうんだけどさ、おかしいよね!?」
「柊と、キスがしたい。おかしいこと?」
こいつ、アホなのか?
「伊勢谷?」
「うん?」
「とりあえず、話し合おうよ」
「話し合ってるでしょ?」
やっぱりアホだ、こいつは!
「落ち着かんわ!」
「ねぇ柊、お願い。キス、させて」
「だめっ」
「どうして?」
どうして?って、お前!
「付き合ってもないのに、いきなりこんなとかないだろ普通!」
「じゃ、付き合おう。俺の彼女になってよ。」
頭、大丈夫なのか?
バカと利口は紙一重ってこれか!!
「好きでもないのに付き合うのもおかしいだろっ!?」
「なら、俺のこと好きになって。」
ダメだ、話にならねー。
「ふざけてないで、どけってば」
「ふざけてなんかない。俺、めちゃめちゃ本気だよ。」
「・・・・・・。」
えっと・・・?
多分、この目は、真剣なんだと思う。
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