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一体、どこから見えている景色が変わったのだろう。 ずっと同じ道を歩いていると思っていたのに。 何かが変だと気がついた時には、もう君の姿は見えなくなっていた。 「これであなたとはもう赤の他人だから」 そう言って鍵をテーブルの上にそっと置き、君は部屋を出て行く。 その後ろ姿に躊躇いはない。 しっかりとした歩みは、軽やかにさえ見えた。 僕が好きだった姿だ。 そう、この背筋がスッと伸びて近寄りがたい姿と、それとは真逆の子供のような笑顔が大好きだった。 今も、やっぱり好きだ。 赤の他人... どうして赤なのだろう。 交わることのない人を指しているはずなのに、 運命の相手と結ばれている糸も赤い。 赤の他人同士が結ばれるから赤い糸なのだろうか。 ならば、切れた糸は何色なのだろう。 僕の指に絡んでいる糸はまだ赤い。 君が運命の人だから。君を求めて漂う赤い糸。 君の糸はもう赤くないのだろうか。 誰かと出会い、僕とは違う赤い色の糸を結ぶのだろうか。 そうか... 違う赤になるから、この赤とは他人になるのか。 行き場がなく漂う赤い糸は、だんだんと色が抜けてそして見えなくなった。 「ごめんな」 そう呟いた瞬間、ポロリと涙がこぼれた。 テーブルに置かれた鍵に、以前付いていた赤いリボンのキーホルダーはもうない。 僕の世界から、君と赤い色が消えた。
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