三.

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「ふふ、でしたらこの切符ホルダーを差し上げますよ」  ひょい、と首にぶら下げていたストラップひもを持ち上げて取るとシンに見せる。 「いいんですか?」 「はい。私たち駅員は、いくらでも新しいものがもらえますから」  そういうと、プラスチックのようなものでできた青いカードを抜き取り、空になったカード入れを差し出た。  そのカード入れは、白、という一言では言い表せない色だった。シンが写真で見たことがある月の色合いとよく似ていた。真っ白ではなく黄色みもあって、クリームよりは明るい色。 「ありがとうございます」 「どういたしまして」  シンは早速、月の色によく似たそれに、乗車券を差し込んだ。それを見ていたクータは、ミシャのほうを見る。 「ミシャ。リゲルとベテルギウスに会いたいんだけど、二人はいるかな?」 「いつもの場所にいると思いますよ。先程、そこの通りで挨拶しましたから」 「ああ、ということは……月見の丘か。ありがとう。シン、行こう」 「あ、うん!」  クータは涼し気な顔で礼をいうとさっさと歩きだしてしまった。またもシンはその姿をおいかける。 「いってらっしゃいませ!」  ミシャは二人の背中を明るく送り出した。
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