四.

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四.

 駅を出たシンの目にうつったのは、高台になっているそこから見下ろす街の風景だった。真っ暗よりはやや明るいが、やはり夜だ。そのなか、街の明かりでキラキラと輝いている。  それは、幼いころに見た夜空のようだった。 「うわぁ……すごい……!」  嬉しそうに声をもらす彼の隣で、クータは微笑みながら立っている。 「キラキラしているのに落ち着いた雰囲気で、おとなっぽい……」 「そりゃ、四十九ある都市の中で一番栄えているからさ」 「四十九!? すごい数だね」 「それくらい、この世界は……とても広いんだ」  クータは、街と上に広がる空を見るようにして、自慢げに言う。そして、シンへ目配せをした。 「こっち、ついてきて」 「う、うん」  彼が歩き出す。シンは遅れないようにと、慌てるようにしてあとをついていく。  五十段ほどある石の階段を降り、人々が行きかう道へ出る。歩きながらクータがオリオン星宮について説明をはじめた。 「オリオン星宮は、オリオン座の星からなる都のことをいう。他の四十七の都市はそれぞれ星座の名前がつけられているんだ」  あれ、と思ったシンが不思議そうに尋ねる。 「さっき、四十九っていったよ」 「そうだよ。計算に含めていないひとつはここ、そしてもうひとつは北斗七星の名前がついている北斗星宮っていう都のことだ。これで四十九」  計算があったことに納得したようにうなずいたが、すぐにぱっと表情を明るくした。
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