五.

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五.

 階段をのぼり、高台へと着く。すると、柵があるあたりに、二つの人影があった。一人は背が高く、髪の毛先がはねている。もう一人は、それより背が低いが、衣服のすそから細い足首が見える。 「だから言ってるだろ、やっぱり今日は三日月だ」  クータとシンが近づくが、二人は気付かないようで、互いの顔を見て話をしている。 「いいえ、半月よ。あなたの目がおかしいのよ」 「あんだと?」 「何よやろうっていうの!?」  和やかに話をしていたかと思えば、勢いがヒートアップする。慌てるシンの隣で、あー、とクータが声を出した。 「あー、リゲル、ベテルギウス。そこまでにしておこうか」 「あ?」  クータの声で我に返ったリゲルはクータのほうをふりかえると、ぱっ、と笑顔になる。 「おお、クータ! さん!」 「あらあら車掌のクータさん、ごきげんよう」  続いて、ベテルギウスもふりかえると、にこりと優しい笑みを浮かべた。 まるでファンタジーの世界から出てきたようないでたちをした美男美女に、シンはやや緊張してしまう。
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