五.

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 先ほどの、街中での会話を思い出す。 ―『そうなんだ。クータみたいに、小さな子でも働かないといけないんだね』 ―『小さな子?』  やはり言ってはいけなかったんだ。そう思ったと同時に、また女性の声が聞こえた。 「子供は黙ってなさい!!」  今度は確実に声がした。その声の主は――母親。 ――おかあ、さん?  そうだ。母親がいた。父親もだ。しかし、なぜ自分は怒られたのだろうか。 ――思い出せない。  数分前とは違い、空間は変わらないままだった。景色がちゃんと見える。そこに、軽快なメロディが鳴った。 「ああ、俺だ。ちょっとごめん」  クータがそうことわり、四角いものをポケットから取り出す。 「はい、クータ。……ああ、分かった。発車時刻までには戻る。じゃあ、また」
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