五.

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 シンの世界でいうところの“携帯電話”で会話を終えたクータは、ポケットにそれをしまう。 「アクアスからだった、星見列車の点検と掃除が終わったって……、だから、そろそろ星見列車に戻らないといけない。シンはこのあとどうする?」 「え、あ、えっと……」 「オリオン星宮をこのまま見て回るか、別の都市へ行くか。別の都市へ行くなら星見列車に乗らないといけないけど」  どちらも楽しそうであるゆえに、迷う。決められないでいて困っていると、リゲルとベテルギウスが会話に入ってきた。 「そうだな、次に行くとしたら……春といえば獅子座だろう、獅子(しし)星宮(せいぐう)なんてどうだ?」 「ならばやはりこちらもおすすめよ、北斗七星の都、北斗星宮(せいぐう)」 「北斗星宮は遠い、獅子星宮のほうが近いしサーカスもあるし思い出作りにはうってつけだ!!」 「いつか忘れるのに思い出を作ってどうするのよ? 北斗星宮のほうが広いし(ほし)馬車(ばしゃ)もあるし絶対楽しいわ!」 「そ、そんな一気にいわれても……」  そして、いつものようにまたも言い合いが加速する。 「ちょっと、シンを困らせないで。もう三回目なんだけど」 「あらやだごめんなさい」 「そんなつもりはなかったんだが」  そんなつもりがあるようにしか聞こえない会話だが、これ以上追及するのはやめたクータがシンに尋ねる。 「二人は別の都市へ行くのをすすめてくれたけど、シンはどっちに行きたい?」 「えっと、どちらも……行ってみたいです」
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