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シンの世界でいうところの“携帯電話”で会話を終えたクータは、ポケットにそれをしまう。
「アクアスからだった、星見列車の点検と掃除が終わったって……、だから、そろそろ星見列車に戻らないといけない。シンはこのあとどうする?」
「え、あ、えっと……」
「オリオン星宮をこのまま見て回るか、別の都市へ行くか。別の都市へ行くなら星見列車に乗らないといけないけど」
どちらも楽しそうであるゆえに、迷う。決められないでいて困っていると、リゲルとベテルギウスが会話に入ってきた。
「そうだな、次に行くとしたら……春といえば獅子座だろう、獅子星宮なんてどうだ?」
「ならばやはりこちらもおすすめよ、北斗七星の都、北斗星宮」
「北斗星宮は遠い、獅子星宮のほうが近いしサーカスもあるし思い出作りにはうってつけだ!!」
「いつか忘れるのに思い出を作ってどうするのよ? 北斗星宮のほうが広いし星馬車もあるし絶対楽しいわ!」
「そ、そんな一気にいわれても……」
そして、いつものようにまたも言い合いが加速する。
「ちょっと、シンを困らせないで。もう三回目なんだけど」
「あらやだごめんなさい」
「そんなつもりはなかったんだが」
そんなつもりがあるようにしか聞こえない会話だが、これ以上追及するのはやめたクータがシンに尋ねる。
「二人は別の都市へ行くのをすすめてくれたけど、シンはどっちに行きたい?」
「えっと、どちらも……行ってみたいです」
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