五.

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「なら、北斗星宮にしよう」 「さすがクータさんですわ」 「えー、俺の負けかよ!」 「勝ち負けないから」  すかさずツッコミをしておくことで、言い合いになるのを防ぐ。 「それに、北斗星宮にはシリウスがいる。彼は不思議な人でね、誰とでも、どんな話でもできる。君も、彼と話せば思い出せるかもしれないから」 「どこにいる人がどんな人かを網羅してるなんてさすがだな!」 「気が遠くなるような年数やってきたんだから、知らないほうがおかしいよ」 「おかげで、私達はすっかり慣れましたけど。クータさんのお仕事は素晴らしいから」  車掌であるがゆえの知識や、車掌として星見列車を運行していることを褒める様子を見て、シンの目が星のように輝く。 「そんなふうに言ってもらえるなんて、すごいね」 「……そんなに瞳を輝かせないでよ」  珍しく戸惑ったように彼が言う。そして、小声で付け加えた。 「調子狂いそうだから」  うまく聞き取れなかったシンが 「え?」 と聞きなおそうとするも、クータはぷいっとそっぽを向いてしまった。
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