五.

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「ふふ、シンさんみたいな年齢の子はなかなかいませんものね」 「そうなんですか? ……確かに、ここに来るまで子供には会わなかったなぁ」  クータに話しかけてきたのは、いずれも大人だった。子ども、とりわけ同年代らしい人はいない。街中にも、大人しかいないように見えた。 「話は終わりだ。シン、駅に戻ろう」 「う、うん! えっと、ありがとうございました」 「はいよ。思い出せたらいいな」 「もしオリオン星宮へ戻ってくるなら、また会いに来てくださいね」  リゲルとベテルギウスに見送られ、シンはクータと共に階段を下りる。  月が見える、月見の丘で出会ったリゲルとベテルギウス。彼らは喧嘩するほど仲がいい、を体現したような、魅力あふれる二人だった。
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