六.

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「行き先は北斗星宮ですね……。北斗星宮は観光地なので、オリオン星宮とは雰囲気が違うと思いますよ」  シンに対してにこりと微笑む。無言の時間を紛らわせるためだった。話しながらも、操作の手は止まることはない。 「ベテルギウスさんから、星馬車っていう名前をきいたよ」 「ああ、あの方たちに会えたのですね。面白い方たちでしたでしょう」 「うん、まぁ……」  ほとんど、言い合いに発展しそうになりクータが仲裁に入っていた、とはいえない。しかし、その言い合いですら、二人は互いのことをよく理解していて、喧嘩をしているというよりもそのやり取りをすることでより仲良くなっているように見えていた。 「星馬車は幻想的な乗り物なので人気なんですよ」 「幻想的な、乗り物」  どんな乗り物なのだろう?  馬車というくらいだから馬はいるのだろうか。オリオン星宮では動物は見かけなかった。人間だけだ。いや、もしかしたら家の中には犬や猫とかがいるのかもしれない。
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