八.

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八.

 ガタン、ゴトン。列車がゆれる。  シンはオリオン星宮へ着いたとき同様、眠り込んでいた。そこに、クータのアナウンスが聞こえてくる。 「次は北斗星宮です。ホームと列車の間に隙間があります。お降りのお客様は、足元にお気をつけください。北斗星宮では、針二周りの間停車します」  キキー、というブレーキ音が小さく鳴る。動きが止まり、体のゆれもおさまった。 「ん……んう?」  ふ、とうっすら目を開いたシンは、頭をゆっくり持ちあげる。 「着い……たの、かな」  きょろ、と窓の外に視線をやる。景色は変わらないように見えるが、オリオン星宮とは違っていて、ホーム全体が薄い紫色をしていた。柱も同じような色で統一されている。 「シン、シンー、起きてるか」  ガラガラ、と車両間にあるドアをあけて、クータが入ってくる。寝ぼけた顔で、彼を見あげた。 「クータ……」 「……寝起きの顔だな。オリオン星宮からここまで長かったし、無理もないか」  苦笑いでいうクータに、シンは慌てたように両頬をぺちぺちとたたいた。
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