二.

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 終点が目的地ならいい、クータに迷惑をかけることもない。見たところ、優しい少年であり車掌という頼もしい肩書きを持つ彼のことだ。多少は甘えてもいいのかもしれないが。 「覚えていないなら仕方ないよ。そういう人はいるから」 「……僕以外にも?」 「今日いるかは分からないけどね、俺は何回か会ったことがある。だから慣れてる」  クータにとっては、シンの登場はイレギュラーなものではなさそうだ。 「じゃあ、そうだな。シンのことを知るために、リゲルとベテルギウスに会いに行こう」  リデル、ベテルギウス。  あれ、とシンは無言のまま視線を上空へやる。屋根のあるここでは、空は見えない。しかし、隙間から見れるそれは、紺色よりもさらに暗い色をしている。  あの二つの名前は、どこかで。そう、理科の時間に聞いたことがあったような――。 「星座?」 「ん? ああ、リゲルとベテルギウスのこと?」 「そう。それって、オリオン座の……あ」 「分かったみたいだね。オリオン星宮の“オリオン”はそれだよ。だから、リゲルとベテルギウスは、この都市のリーダーみたいなものかな」  オリオン星宮は“都市”であるようだ。そのことを理解してふむふむと頷くシンの横で、クータは二人の顔を思い浮かべているのか、明るく言う。 「二人の居場所には心当たりがあるんだ。オリオン星宮を案内しながら、そこへ行くとしよう」 「う、うん、分かった。よろしく……お願い、します」 「敬語じゃなくていいって言ったのに。じゃあ、ついてきて」  相変わらず、優しい笑顔で、しかし言葉はわりと淡々で言うと、そのまま歩き出す。シンは置いていかれないようにあわてて追いかけた。
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