三.

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三.

 降車したクータとシンは、改札へとやってきた。そこには、クータの制帽にある星とは色違いのそれがついた制帽、そしてリボンタイをした女性が立っている。  薄い緑色から青色へのパステルカラーのようなグラデーションとなっている髪色は、シンにとって初めて見るもので、一瞬驚いたものの、 「あ、クータさん! お疲れさまです!」 と愛らしい笑顔で挨拶をする彼女に、こわばった表情は元に戻った。  シンはクータの横に並んで立つ。彼女の好奇心がそのままうつったような桃色の瞳は、くりっと丸い形をしている。 「お疲れ様。シン、紹介するよ。彼女はオリオン星宮の駅員、ミシャ。ここに就任してからまだ日は浅いけど、しっかり者で頼れる存在だ」 「はじめまして、ミシャという名で生を受けました。よろしくお願いいたします」 「は、はじめまして……、ナミヤシンといいます」 ――生を受けました?  これまでそういう自己紹介の言葉を聞いたことがないシンは、正直“?”と思いながらも、あえてそこにはふれずに、自身も名乗る。  ミシャはにこり、と目を細めて笑った。 「シン様ですね。ようこそ、オリオン星宮へ」 「は、はい」  ミシャの笑顔にやたらと気恥ずかしくなってしまったシンは、ドキドキしはじめた心臓に気がつく。そんな様子を見抜いているのかいないのか、クータはただ微笑むだけで、シンの左肩をポンポンと二回優しく叩いた。緊張しないでいいよ、の意だ。
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