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ローレンがその場から去ろうと後ろを振り向いた瞬間____俺は冷たい金属をローレンの背中に突きつけた。
「ねえ、組織を裏切ったのに生きていられると思ったんですか? 幹部はとんだお茶目さんですね! マフィアが裏切り者を放置しておく訳ないでしょうに」
口元に弧を描いて俺は無邪気に喋りかける。嗚呼、一体彼は今どんな表情をしている? 見たくてたまらない。
「俺、申し訳ないんですけど貴方のような人が大嫌いなんですよ」
ローレンは呆然と立ち竦んでいる。
「な、んで? お前さっきまで普通に······」
理解の追い付かない頭を必死に回し、ローレンはようやく悟ったようだ。自分は嵌められたのだと。
俺の片手はローレンから渡された荷物を、しっかりと握り締めている。もう一人の裏切り者の居場所はデリング・ウッズ。
裏切り者には死を____
そう教えてくれたのは貴方じゃないですか。
そう言う俺はいつもと変わらない陽気な笑みを浮かべている筈だ。鋭い銃声が、夜の貧民街に響く。
「俺には、血飛沫が上がる未来まで想像出来ましたよ」
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