星空

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ここから見る空は、実家で見た空より星が少ない。 一つ一つの星を見ながら考える。 母と祖母と父と。 3回喪主を務めた。 どんな思いで人生を過ごしたのだろう? でも。 誰も『疲れた』なんて言ってなかった気がした。 相当に大変な状況だったはずなのに。 私が記憶してないだけなのか? なんで? 一瞬、空がぐん!と下がってきたような感覚があった。 いくつかの星がふわふわと降りてきた。 え?! 『一生懸命じゃった』 『生きるちことは、そげんこったい』 (生きるということは、そういうことだよ) 『だっでん、一緒たい』 (誰でも、同じこと) 声が聞こえた。 みんな一生懸命に生きている、誰でも同じように。 つらいとか苦しいとか、感じるのは自分。 でもそんなふうに感じているのは自分だけじゃない。 ーそうだね…疲れたなんて言ってる場合じゃないねー 忘れていたけど、笑って過ごしていた家族の時間もあった。 悪いことばかりを思い出して数えるのは、やめにしよう。 星空を見たら、いいことばかりを数えることにしよう。 「にゃーん」 頭を撫でていたクロが、小さく鳴いた。 さっきまでのモヤモヤが、星空にスーッと吸い込まれて消えた。 ー完ー
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