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ただ、きっかけが欲しかった。
バケモノになるための言い訳。
空から降って来る根拠もない毒を僕は『理由』にしたかった。
「また今日も、あの施設に遊びにいくのか、カイリ」
「うん」
「変わってるなって、みんな言ってるけど」
「そう?」
変わってるっていうか、変らずにいられたというか。
僕は、出来るだけあの子に会いに行こうと思ってる。
僕の顔を見るとマユラは、傘をほんの少しくるっと回すのだ。それが嬉しい。
お礼だとか、贖罪だとか。そう言うんじゃない。
ほんの少しでも、あの子の中に降る永遠の雨の傘に、僕がなってあげられたらと。
そう思って。
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