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足下にできた血の海が、瞬く間に洗い流されていく。
雨の音が、俺の耳をじわじわと劈いてくる。
もうやまないのではないかと錯覚するほどに、いつまでも。
どうして選んでくれなかったのだろう。
あなたが堕ちるなら、運命を共にしたのに。
あなたと出会って、戦う以外の喜びを知ったのに。
あの時、あなたは泣いていたのだろうか。笑っていたのだろうか。
それとも……分からない。
叩きつけるような雨に遮られて、あなたの顔が、よく見えなかったから。
それが、あなたを見た最後だった。
だから俺は、雨が憎い。憎くて、憎くて仕方ない。
選ばれないなら、せめて、あなたがどんな顔をしていたのか見たかった。
あなたの気持ちを、知りたかった。
あなたを前にすると熱くなるこの気持ちを、理解したかった。
あなたの傍に、いたかった。
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