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「ブラジャー狩り」
幾分か年月が経ち、工夫するのが大好きだった少女は成長した。
彼女は今も工夫して毎日を過ごしている。
昨今の自粛生活も彼女にかかればお手の物だった。
時は二〇二〇年、梅雨。自粛が推奨される中で、雨により外出する気分を削がれるというダブルパンチ。
加えて、雨の日は部屋干しをせねばならない。6畳一間の空間は洗濯物で埋まってしまう。彼女は、洗濯ばさみでぶら下げた下着や肌着を取り込んでいるときに、一度だけ行ったことのあるイチゴ狩りの風景の連想した。
洗濯ばさみをつまみ、ブラジャーを手に収め回収する動作が、イチゴ狩りのそれと、非常によく似ていたのである。下着、靴下、台拭きも同じ要領で回収していく。
その日から、彼女の眼には、部屋につるされた洗濯物がイチゴにしか見えなくなった。
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