KID WAS (キッド ワズ) ー彼女は賞金稼ぎー

2/9
前へ
/9ページ
次へ
 ポタポタと落ちる汗を拭っては水筒を手に取り、再び汗と口元を拭う。  そんなことを何回か繰り返している時だった。 「来た!」  砂漠を走る黒い影。 彼女は双眼鏡の倍率を上げた。  モウモウと土煙を巻き上げながら、地面から1メートルほど空中を浮いて走る車。  運転しているのは爬虫類タイプの異星人だ。  データベースにアクセスしてその男を検索する。  双眼鏡の画面には指名手配書のデータと共に、誤合致率99.666%の数字が映し出された。 「はい、ビンゴ!」  彼女は慣れた手つきで防塵、防風用のカラスマスクと、革製のグローブを装着した。  そして、横に止めてあるバイクに跨り(またが)スターターボタンを押す。 「ウィーン」  電子音と共にバイクが地面から少し浮いた状態で(とど)まっていた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加